ディズニーが認めた「シチズン」腕時計の実力 社長が語る創業100年老舗メーカーの挑戦
――フォッシルとの提携にあるスマートウォッチ分野ではアップルウォッチのようなウェアラブル端末に対抗できないとの指摘が出ています。
シチズンから見れば、フォッシル社は十分先進的なソフト技術をもっている。確かにアップルと比較されれば、それは話にならない。われわれもアップルとの土俵に立つのは無理だということはわかっている。同じ土俵に立てば絶対に負けるわけだし、対抗しようと開発投資をすれば大変なことになる。シチズンとフォッシルが組んだくらいでできるわけがない。
しかし、コネクテッド分野が伸びているのは確かだ。だからスマートウォッチ分野には参入する。そうはいっても、シチズンが手掛けるのはウェアラブル端末ではなく、針の付いた「ハイブリッドスマートウォッチ」だ。アップルだって針付きの時計には参入できないはず。違う領域だからこそシェアを伸ばせる。
目指すのは、シチズンの理念でもある「美と技術の融合」だ。デジタルガジェットにはない、針時計の美しいデザインや身に付けたときの心地よさなどについて、スマートウォッチでもこだわっていく。シチズンが展開するからには、時計は美しくなければいけない。
シチズンには光発電によって電池交換を不要にした「エコドライブ」や世界最薄腕時計を作り出したムーブメントのハードウエアの技術はある。そこにフォッシルの技術開発を取り入れて新しいスマートウォッチを確立していく。
技術とデザインは両立できるか
――美と技術はゼロサム関係ではないと。
ゼロサム関係でないことは自動車を考えても同じではないか。走る技術と機能だけでデザインがないと面白みはないでしょう。
すでに腕時計の機能を代替するものはたくさんある。それでも人が腕時計をするのは記念や思い出を込めたり、身に付けることで自分を鼓舞したり、モチベーションにつながったり、ステータスとして周囲に見せたりという一種の“コト消費”の要素があるからだ。
そういう点では機能だけでなく、身に付けるときの満足感としてデザインが重要な要素であり続ける。腕時計はもはや生活必需品として求められる時代ではない。今、腕時計が最も売れている時期がクリスマスシーズンであることは腕時計が特別な日に買うものという新たなステージに移っていることを示している。
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