シンカリオン、「鉄」は見ないともったいない JR各社が協力、会社の枠越えた異例のアニメ
このイラストが社内のコンテンツビジネス局のメンバーをざわつかせた。この新幹線人気を使わない手はない。では、何をやろう。その時、小プロのスタッフが描いた1枚の絵にひきつけられた。新幹線がスタイリッシュなロボットに変身しているイラストだ。
「これはすごい!」
みんなが声を上げた。「いけますよ。新幹線ロボット! 絶対に人気が出る」。かくして、1枚の新幹線ロボットのイラストに名前がついた。「プロジェクトE5」である。
jekiは、『ポケットモンスター』の版権を保有するうちの1社である。そこから察せられるとおり、エンターテインメントビジネスについて先見の明がある。
意外にも誰にも反対されなかった「新幹線の変形ロボ」
鈴木氏とチームメンバーは、1枚の新幹線ロボットのイラストに可能性を感じた。そこで鈴木氏らは、親会社であるJR東日本の各部署を回り、上層部を説得して回った。時間をかけて調整はしたが、不思議なことに、誰からも反対されることがなかった。
「とにかく格好よく作ってくれよ」。JR東日本に温かく背中を押してもらい、シンカリオンのプロジェクトはレールに乗り始めた。「新幹線をロボットにしたキャラクターを作っていい」という許諾が降りたのである。
さっそくCGで作った3DアニメーションをベースにFRPで作ったフィギュアモデルをおもちゃショーに出店した。おもちゃショーのメインコーナーはおもちゃブースだが、jekiの出店はその他の出展エリアにあった。ところが、ショーに来ていた一般客の間で「新幹線の変形ロボがあるらしいぞ」とうわさになり、ショーの流れを変えてしまうほどの人気となった。
この勢いを借りて、さらにビジネスの形にするにはどうすればいいか。おもちゃショーが終わった後、jekiと小プロはおもちゃメーカーのタカラトミーに声をかけ、3社で協議し、内容のブラッシュアップを始めた。
まず、新幹線が変形したロボットだと一目で誰にでもわかるようにする必要がある。プラレールショップに集まった親子客や、小学館の経営する幼児教室に通う幼児にアンケートをとり、子どもたちは新幹線の先頭車両を「顔」として認識していることがわかった。
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