伊藤忠・岡藤会長が説く商社パーソンの心得

一芸に秀でつつも変化に対応できる人材求む

未到の領域へと突き進む総合商社。商社パーソンにも壁を打ち破る発想が求められている(デザイン:杉山 未記)
資源価格の反発により、復活を遂げているのが総合商社だ。非資源事業での新規ビジネス創出にも余念がない。
『週刊東洋経済』は11月12日発売号(11月17日号)で「進撃の商社 純利益1兆円への野望」を特集。大手総合商社が新たに打ち出している事業戦略の狙いを探った。
各商社が一段上の成長を実現するために重要となるのが、個々の商社パーソンたちの力だ。そこで伊藤忠商事の会長CEOである岡藤正広氏に「新時代における商社パーソンの心得」を説いてもらった。岡藤氏といえば、朝型勤務などの働き方改革を先んじて進めてきた名物経営者。その言葉は他業界のビジネスパーソンや商社への就職を志望している就活生も参考になるはずだ。

コンビニが戦艦大和にならないようにせなあかん

――IoTやAIなど近年の技術革新が起こしつつあるビジネス環境の変化を前に、商社の経営トップもみな危機感を持っているようです。

ビジネスが大きく転換していますよね。商社はそれになかなか対応できないんです。なぜなら商社では、商品ごとに組織や担当者が縦割りになっているから。

『週刊東洋経済』11月12日発売号(11月17日号)の特集は「進撃の商社」です。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

コーヒーならコーヒーばっかり、マグロならマグロばっかりをずっと扱っているわけやな。でも、重厚長大産業を得意とする商社はね、変化に敏感ですよ。クルマを造る会社から「モビリティ・カンパニー」に、トヨタがなぜ生まれ変わろうとしているのかなど、そういう大きな変わり目を敏感に感じ取る。

一方で、伊藤忠が得意とする生活消費関連は、基本的に変わらないですよね。食べる物とか着る物はそんなに変わらないでしょ。でもね、ネットでの販売など売り方が変わっている。これをね、敏感に察知しないと。「コーヒーはコーヒーのままでいいんじゃない」と言うてたら、売れなくなってしまうわけですから。

大きく変わっていく時代に、みずからをどう変化させていくか。時代の変化に対応するように人間の感度を変えていくのは、ものすごく難しいですわ。

――時代の変化に合わせて、商社は自身のビジネスを変えてきたといわれます。そのような商社でも今の変化に対応するのは難しい?

「時代は変わっているからこのようにしたらどうや」とか、改善、改革をつねにしていこうという発想がないのよな。商社の欠点や。

「このままでええのやろうか」「来年は変えなあかんのちゃうか」と、自分の仕事に対してそういう発想を持っていたら、分かると思うんだよ。

それで僕が言うてるのは、「コンビニが戦艦大和にならないようにせなあかん」ということ。日本が戦争に負けた理由の一つは、航空兵器へと戦力の主役が変わっていたのに大鑑巨砲主義にとらわれていたこと。

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