伊藤忠・岡藤会長が説く商社パーソンの心得

一芸に秀でつつも変化に対応できる人材求む

今のコンビニはね、いわば地上戦で全国に約5万5000店ある店舗の取り合いをしているわけ。でも時代はネットのビジネス、空中戦や。

岡藤正広(おかふじ まさひろ)/ 1949年大阪市生まれ。1974年東京大学経済学部卒業。同年伊藤忠商事入社。一貫して大阪で繊維の営業畑を歩む。2010年、社長就任。2018年4月から会長CEO(撮影:尾形 文繁)

トヨタとソフトバンクは提携して、移動中に料理を作って宅配するサービスや移動中に診察を行う病院送迎サービスなどを提供していくとしている。つまり移動店舗が現れる。

移動ができず一定箇所に構えていないといけない従来型の店舗は、店があるエリア内のお客さんの嗜好など、そういうデータを集めていかないと立ち向かえない。データがあれば、年配者の多い地域の店舗に置く弁当は塩分を少なくするなど、もっとピンポイントでお客さんのニーズに合った商品を仕掛けることができるわな。

そういう時代がやってくる。そのとき、コンビニ各社で5万5000店舗を日本全国で取り合いしとるのは意味がなくなる。しかもそれはね、10年先じゃなくて、3年、5年で変わってくる可能性があるわな。

十数年は一つの道で鍛えねば、ちゃんと育たない

――商社は新入社員のときに配属された部門が繊維だったら、その後もずっと繊維部門内でのポストをこなすという人事制度でした。その見直しもありうるのでしょうか。

そうなると中途半端な人材になるよね。今うちのテレビCMに「ゴマ部長」いうてね、業界で有名なゴマのプロが出ています。こういうプロがおって、初めて商売が成り立つ。

とにかく商品のプロにならなきゃいけない。ゼネラリストというのはやっぱりね、中途半端で使い物にならない。その道のプロになり、ある程度の水準になってから、いろんなことを経験したほうがいい。

「まずは一芸に秀でることが大事」というのが僕の考え。商社は今までそのようにしてきたと思うんです。

でも、1カ所にずっとおると問題も出てくるのでローテーションで動かす。しかし動かし過ぎると、中途半端な人材にしか育たない。

だから多少リスクがあっても十数年は一つの道で鍛える。種をまいてしっかり根付く前に、しょっちゅう別の鉢に植え替えとったら、ちゃんと育たないでしょ。ある程度根付くまではそのまま置いておいて、植え替えはその後でというようにせなあかん。

だけど、一つの商品のところに凝り固まると、なかなか変化に対応できない。ほんと難しいですよね。一芸に秀でつつも変化に対応できる人材をどう育てていくか。組織のあり方とかそういうのも変えていかなあかんのかも。

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