中米「移民集団」がアメリカへ逃げているワケ キャラバンはいったい何を目指しているのか

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これに先駆けて、アメリカの国家安全保障会議(NSC)でキルステン・ニールセン国土安全保障長官とジョン・ケリー大統領首席補佐官とが一緒になって、ジョン・ボルトン大統領補佐官と激しい議論を交わしたという。

ケリー氏が国連の難民高等弁務官の協力を要請したのに対し、ボルトン氏は国連の介入を仰ぐ提案を激しく非難し、メキシコ軍がキャラバンを撤去させるべきだと主張。両氏はトランプ大統領の前で激しく応酬を繰り返し、ケリー氏は会議を退席して翌日まで姿を見せなかったとされる。トランプ大統領はボルトン氏側につき、その後いつものようにツイッターでメキシコとの国境を封鎖すると脅迫した。

政府は帰国できるようにバスも手配

そのメキシコであるが、キャラバンに参加している人たちに対して自治体や市民が奉仕の手を差し伸べている。一部の地域では、地元市民が移民集団にビスケット、コーヒー、果物、飲料水などを路上から提供して元気づけるという場面もあり、これに応えてキャラバン参加者はお礼に「メキシコ、メキシコ!」と叫んだという。

一方、メキシコ政府は帰国を促すために45台のバスも手配。また、メキシコに残留したいのであれば仕事に就けるようにするとペーニャ・ニエト大統領は述べている。AP通信によると、メキシコ政府はキャラバン参加者に対して約2700通の一時ビザを用意、今後は本格的な移民受け入れも考慮しているという。

また、キャラバン参加者の中には、12月に就任する予定のアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール新大統領が貧困政策を掲げていることから、メキシコ残留を考える人も出てきているようだ。

今もアメリカへの入国を希望して北上を続けているキャラバン。最終的にどこの国境を目指すのかは明らかにされていないが、最も可能性が高いとみられているサンディエゴまではまだ2000キロ余りある。

白石 和幸 貿易コンサルタント

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しらいし かずゆき / Kazuyuki Shiraishi

1951年生まれ、広島市出身。スペイン・バレンシア在住40年。商社設立を経て貿易コンサルタントに転身。国際政治外交研究も手掛ける。著書に『1万km離れて観た日本』(文芸社)。

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