フェイスブック「情報流出」で崩れる成長神話 稼ぎ頭の欧米で減速、データ保護規制が逆風

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英国のデータ保護当局は10月中旬、ケンブリッジ・アナリティカの事案に関し、個人情報の保全を怠ったとして50万ポンドの罰金を科すと発表。当局側は「GDPRが施行されていれば、罰金は極めて高額になっていただろう」と断じた。同月下旬には日本の個人情報保護委員会も、フェイスブックの一連の情報流出に対し、行政指導を行うことを発表している。

欧米の成長は鈍化、費用も増加傾向

欧米のユーザー基盤は、同社の成長に不可欠。売上高のうち7割超はアメリカ・カナダと欧州の広告収入だ。ユーザー数の伸びが見込めなければ、広告主も離れかねない。

セキュリティや法務対策で費用は増加傾向だ。セキュリティ関連人員は年内に1.5万人から2万人に増やす方針。「セキュリティに関しては、今後1年でテクノロジーと人の両面で必要なレベルに上げる」(ザッカーバーグ氏)。

この7〜9月期の営業利益率は42%といまだ高水準だが、4四半期連続で後退。会社側は来年にかけてさらに投資がかさむとする。

米ウォール街でフェイスブック批判の急先鋒として知られるピボタル・リサーチ・グループのアナリスト、ブライアン・ウィーザー氏は、「さまざまな問題が持ち上がるたび、フェイスブックが自らのビジネスを制御できていないことを認識させられる」と指摘する。

確かにフェイスブックは、年間5割超の収益成長を続けている。ただその視界は決して開けてはいない。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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