フェイスブック「情報流出」で崩れる成長神話 稼ぎ頭の欧米で減速、データ保護規制が逆風
15億人のユーザーを抱える巨大ソーシャルネットワークが揺れている。
米フェイスブックが10月30日に発表した2018年7〜9月期決算では、欧州の1日当たり利用者数が2億7800万人と、2四半期連続で減少した。今年1〜3月に過去最高を記録してから、400万人の落ち込み。アメリカとカナダの利用者数も、1億8500万人と横ばいが続く。「今年はつらい1年になっている」。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは決算電話会見でそう漏らした。
相次ぐデータ流出でユーザー離れ
3月に明らかになったのが、約8700万人分の情報流出だ。イギリスの研究者が学術目的でフェイスブックから収集したユーザーデータが、英政治コンサルティング会社のケンブリッジ・アナリティカに不正に流され、2016年の米大統領選挙の工作活動などに使われた。
9月末には一部機能の脆弱性を突かれ、約2900万人の情報への不正アクセスを許した。電話番号やメールアドレスのほか、直近の位置情報や検索履歴が含まれるケースもあった。
こうした個人情報は「ダークウェブ」と呼ばれる闇サイトで取引される。偽サイトに誘導するフィッシングメールなどが送られ、クレジットカードや銀行口座の番号など、より重要な情報を盗み取ろうとするのだ。「情報流出を避けたければ、そのサービスを使わないということくらいしか選択肢はない」(米セキュリティ大手シマンテック・ノートン事業統括本部の古谷尋部長)。
一連の情報流出を受けて盛り上がったのが、「デリート・フェイスブック(フェイスブックを消そう)」というネット上の運動だ。ユーザー離れは止まりそうもない。
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