元代表の戸田和幸が狙う「サッカー解説」革命 2002年日韓大会の「潰し屋」が知的な男に転身

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「自分なりに真摯にサッカーに向き合い、追求してきたものがあった。でも僕に対する世間のイメージは、あのとき(2002年)で止まったまま。また、所属してきたチームがもつ僕のイメージは“主体性はあるけど意見を言うので扱いづらい選手”というものだったと思います。

いずれ監督業に就きたいけど、オファーもない。行きたい場所と現在地のギャップを埋めるためにも、サッカーを言語化し、魅力を伝える解説業は、監督業との共通項も多いため、アリだと考えました」

戸田 和幸(とだ かずゆき)/現サッカー解説者・指導者。1977年12月、神奈川県生まれ。Jリーグ、イングランドプレミアリーグ、オランダリーグでも活躍し2013年11月現役引退。2002年のFIFAワールドカップでは赤いモヒカンが注目された。2018年2月より慶應義塾大学ソッカー部コーチにも就任している(筆者撮影)

現役時代から、自分だけの特徴を出すことを常に意識してきた戸田には、不思議と解説業で生きていく自信があったそうだ。他の解説者との決定的な違いを出すことができると考えていたのだ。

応援解説とは対極にある戸田の解説

本来、スポーツ中継において、その場の状況を説明する「実況」と、専門家の視点で説く「解説」は、明確に役割が分担されている。

しかし地上波の場合、わかりやすさが求められるため、解説者も専門的な視点や戦術的な解説を省き、応援したり、簡略化した説明に終始することも多い。最もわかりやすい例は、松木安太郎氏の「応援解説」だろう。

戸田の解説は、松木氏の応援解説とは対極をなす。戸田は、サッカー解説という仕事は文字どおり「サッカーを解いて説く」ことであり、求められるのは、視聴者がサッカーというスポーツを理解して楽しむために、専門家の視点で言語化することだという。

「サッカーはチームスポーツ。この難解なスポーツを、チームという側面から伝えることで、よりサッカーの本質と魅力を伝えられると考えています。独自性を出して、なおかつ、できるだけ多くの人にいいねって言ってもらえるものを目指して、この5年間やってきました」

戸田の解説を聞くと、他の解説者と比べて、情報量が圧倒的に多いことがわかる。両チームのゲームプラン、攻守における狙い、選手それぞれの特徴やチーム内での役割など、他の解説者があまり触れないことに、あえて言及する。一貫しているのは、チームという側面からサッカーを解説していることだ。

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