安田さん拘束現場で進む民主化運動のリアル

シリア内戦の今を現地ジャーナリストが語る

今、イドリブ県で何が起きているのでしょうか(写真:Idlid Coordination Council〈エルカシュ・ナジーブさん提供)
さまざまな社会問題と向き合うNPOやNGOなど、公益事業者の現場に焦点を当てた専門メディア「GARDEN」と「東洋経済オンライン」がコラボ。日々のニュースに埋もれてしまいがちな国内外の多様な問題を掘り起こし、草の根的に支援策を実行し続ける公益事業者たちの活動から、社会を前進させるアイデアを探っていく。

シリア国内で約3年4ヵ月にわたって反政府武装勢力に拘束されていたジャーナリストの安田純平さんが10月23日に解放され日本に帰国しました。安田純平さんの解放について国内ではさまざまな議論を呼んでいますが、一方で、肝心のシリア情勢についての議論が乏しい印象を受けます。

本記事はGARDEN Journalism(運営会社:株式会社GARDEN)の提供記事です

シリア内戦では2011年以降、36万人を超える死者が出ており、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると630万人が難民となって国外に避難をせざるをえなくなりました。戦闘で家を追われるなどした国内での避難民を合わせると1300万人以上が人道支援を必要としている深刻な状況が続いています。

安田さんが拘束された現場はシリア北西部のイドリブ県です。「アラブの春」に端を発した民主化運動が拡大する直前、2009年の時点で195万人の人口を擁していた地域です。その後、内戦が激化し、2015年以降は反政府武装勢力のヌスラ戦線が占拠してきました。今年9月、内戦終結に向けシリア政府軍やロシア軍による大規模な攻撃が行われるという観測から「最大の人道危機」が懸念され、国連などが攻撃を行わないよう停戦を呼びかけていました。

人道危機は免れないのか

先月、シリア反体制派を支援するトルコは、イドリブ県周囲に非武装地帯を設置することでロシアと合意。さらに10月28日、トルコ、ロシア、フランス、ドイツの4カ国首脳がイスタンブールで首脳会談を行い、「永続的な停戦の重要性」を声明文として発表しました。人道危機はいったんは回避されたように見えますが、合意後の衝突も続き予断を許さない状況が続いています。

次ページシリア内戦のいま
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • コロナ後を生き抜く
  • 今見るべきネット配信番組
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 森口将之の自動車デザイン考
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ついに上場廃止、大塚家具の末路
ついに上場廃止、大塚家具の末路
日本初、「工場を持たない」EVメーカー誕生の衝撃
日本初、「工場を持たない」EVメーカー誕生の衝撃
日本人に多い「腸を汚すフルーツの食べ方」4大NG
日本人に多い「腸を汚すフルーツの食べ方」4大NG
男性も入れる?新業態『ワークマン女子』の中身
男性も入れる?新業態『ワークマン女子』の中身
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
2050年の中国<br>世界の覇者か、落日の老大国か

米国と並ぶ超大国を目指す中国。しかし中国の少子高齢化はこれまでの想定を超える速さで進行しています。日本は激変する超大国とどう付き合うべきか。エマニュエル・トッド、ジャック・アタリ、大前研一ら世界の賢人10人が中国の将来を大胆予測。

東洋経済education×ICT