安田さん拘束現場で進む民主化運動のリアル シリア内戦の今を現地ジャーナリストが語る
ナジーブ:そうですね。ロシア空軍がどこかで空爆すると、交渉に入り、その地からロシアの兵士は出て、シリア軍が入りますよね。「その地域ではもう市民に干渉しない」という約束をロシアはするのですが、一度も守られていない。いろんな人を拘束して、治安が悪くなって。実は今日(2018年9月)のシリアのニュースによると、非武装地帯が設置され、「市民はイドリブ県から非武装地帯に逃げてもいいですよ」という宣言が出たそうです(関連記事)。しかし、1人も行かなかったと。それだけシリア政権を信用できない。「出たら安全ですよ」とずっと言われてきたのですが、出ると逮捕され、拘束される。シリアとロシアとイランの同盟国は、全然信用できないんですね。
日本にいる私たちができることとは
堀:そういう中で、市民の皆さんが連帯して、自分たちの思いを世界中に発信しようと今奮闘して、メディアのトレーニングもして、市民記者を育ててということをやっていると。この発信はぜひ受け取りたいですね。こういう中で、いったい私たちに何ができるのかということをすごく考えさせられます。
ナジーブ:そうですね。いつも聞かれます。逆に「私に何ができるか」と自分に問うんです。私は本当はもっと今のようなことを日常的にメディアに出さなきゃいけない。そこで、Facebookで「シリア文化の家」というページを始めました。なぜ始めたかというと、「シリアのために何をしたらいいか」と考えてる日本人が、その方の分野で、シリアの中にいるシリア人、あるいは難民として国外にいるシリア人とつながってほしいからです。つながるといろんな活動を一緒にできる。
堀:今Twitterの「#ニュースX」でも、「シリアの民主化運動は今も活発に行われているのか。シリアで起こっているのはもう内戦だけかと思っていた。違っていたんですね」という声が。一方で、「シリアの柔道着を着ている子どもたちの安全は守られているのでしょうか? 学んだり遊んだりできているのか心配です」という声もあります。
ナジーブ:学ぶことについては、この写真を見てほしいです。シリア人は、悲劇の中でもユーモアがあり、皮肉を使うんです。これはアラビア語のメッセージなのですが、「シリアでは、学校に行くことはお遍路みたいなことです。できる人もいれば、できない人もたくさんいます」と、ちょっと皮肉っぽく訴えています。
堀:機会が偏っているということですね。今日はナジーブさんのお話の中で、ぼんやりしていた「シリア」という国の中に、子どもたちがいて、市民がいて、平和的に民主化運動を続けようという人たちがいるということがわかっていただけたと思います。日本からの発信がとても大切です。ナジーブさん、今日はどうもありがとうございました。
ナジーブ:ありがとうございました。
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