"移民"じゃないからOK?「改正入管法」の不安

労働力不足が深刻化しているのは事実だが…

もっとも中川氏の移民政策には反対論が強く、自民党内で主流となるに至らなかった。リーマンショックによる景気停滞や民主党政権の誕生も、中川氏の案を埋もれさせる原因になった。

ふたたび移民についての議論が活発化したのは、2014年3月に第2次安倍政権が毎年20万人の外国人労働力受入れを本格的に検討し始めた時。その背景に安価な労働力を確保したい経済界の後押しがあったのは言うまでもない。

例えば日本経団連の米倉弘昌会長(当時)は2010年11月8日の定例会見で、「(人口減少の)補強のためには移民しかない。長期的な安定のために日本に忠誠を誓う移住者をどんどん奨励すべきだ」と積極的に移民政策を推進していくべきとする自論を展開し、その後継の榊原定征会長(当時)も2017年4月10日に「移民について経団連として長期的な課題として検討を続けていく必要がある」と語っている。

「移民」でも「労働力」でも同じこと

すでに日本には2017年10月末現在で128万人の外国人労働者が存在しており、2007年に届け出が義務化されて以来の最多数を記録した。これを「移民」と定義しようとも、「単なる労働力の受け入れ」であると定義しようとも、社会に与えるインパクトが変わるわけではない。

「『移民じゃないから大丈夫』というマジックワードだけではよくない。総理は先頭に立って説明すべきだ」

国民民主党の奥野総一郎衆議院議員は11月2日の衆議院予算委員会で安倍首相に対し、本法案を総理大臣が出席して質疑に応じる重要法案議案に指定することを求めたが、安倍首相はそれを受け容れなかった。

移民にしろ労働力の受け入れにしろ、国民生活に大きく影響するのは必至だが、今回のこの改正案では国民の不安をいまひとつ解消できないというのが現実だ。至急に補完する法制度を整え、期限を超えて滞在できないようにする組織的な対応をできるようにしなければならないだろう。しかしながら外国人労働者の人権も尊重しなければならない。外国人労働者を増やす今回の枠組みが、社会の変化に十分に対応できるものなのかどうかも、慎重に検討しなければならないだろう。

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