トヨタが燃料電池車で狙う「プリウスの再現」 2015年に市販を開始する究極のエコカー

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一人乗りのコンセプトカー「FV2」(左)と次世代タクシー(右)も公開

トヨタが開発を進めるFCVは優位に立てるのか。FCVの最大の課題は水素を供給するインフラの整備だ。

EVやPHVも充電インフラがネックの一つではあるが、電気の通っているところであれば充電できる。これに対し、水素は供給施設を一から作る必要がある。日本国内では2015年に東京など4大都市圏で100カ所程度が整備される予定だが、その規模ではまったく足りない。

見据えるのは2030年

もちろん、トヨタもこうした問題はわかっている。「2015年時点で、FCVはほとんど普及しませんよ」とトヨタ役員は言い切る。

「プリウスの時と同じだと思っている」(同)

初代プリウスの発売は1997年。HVの市場をゼロから立ち上げた。15年後の現在、少なくとも日本市場でHVは完全に定着している。FCV元年が市販を開始する2015年として、トヨタの目線は2030年にある。

もっとも、トヨタのエコカー開発はFCVだけではない。昨年すでに「プリウスPHV」を発売しており、欧米勢に先行している。「HVにPHV、さらにEVの技術もある。ただEVについては、航続距離の問題がまだ解決できないので1台目として買ってもらうのは難しい」(前出のトヨタ役員)。

全方位でエコカー開発を進めるトヨタ。技術力の高さもさることながら、どの技術が本命になっても十分に対応できる体制こそが、一番の強みだろう。

(撮影:尾形文繁)

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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