ブラジル新大統領にキューバが震撼する事情 危険なボルソナロ氏が考えていること

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ボルソナロ氏が大統領選に立候補するのを内心決めたのは2014年末頃だという。過激な発言をする議員だということでメディアでは敬遠していたが、当時ブラジル経済は低迷期に突入。

2018年までのわずか4年の間に失業率は4.8%から12.7%に上昇したほか、負債もGDP比で55.4%から77.3%に増加した。投資も2014年がGDP比20.4%であったのが、2017年は15.6%にまで減少。治安も乱れ、昨年は63000人以上が殺害されるという異常事態にまで発展している。

軍事政権の復帰を望む見方も

それにダメ押しをするかのようにブラジル石油公社ペトロブラスに絡んだ建設事業にブラジルの最大のゼネコン会社オデブレヒトが工事の受注のために政治家に賄賂をばら撒いたことが発覚。それがブラジルからラテンアメリカ全域に飛び火した。ブラジルでは13年間政権を担った労働者党のルラ元大統領をはじめ、同党幹部ら全員が賄賂を受け取っていたことで逮捕されている。

景気の低迷、治安の不安、汚職。この3つの理由から、国民は治安の安定を取り戻し、汚職に染まっていない政治家を指導者として求めるようになっていったのである。

今年6月の世論調査でも78%の国民は政治家を信頼しないという回答があり、その一方で56%の国民は軍隊に信頼を寄せているという結果が出ている。5月に2週間続いたトラックのストでも、多くの運転手が、軍部が政権に就くことを望んでいたという。そもそもブラジルでは、自国の民主主義政治に満足している人はわずか6%しかいないということが調査で明らかになっている。

ブラジルで20年続いた軍事政権はアルゼンチン、チリ、スペインで起きた軍事政権とは異なり、社会主義や共産主義の思想の持主を多量に拘束して殺戮するといった過激な行動に走ることが比較的少なかった。それも、ブラジル国民の間で今でも軍事政権への郷愁がある理由だろう。そのうえ、軍事政権の間は治安も安定していた。

こうした中、ブラジルで国民の要望にうまく叶っているのがボルソナロ氏だったのだ。ボルソナロ氏は過激な発言をするが、その発言内容の一部は治安の安定に必要だ。しかも、元軍人で、汚職のうわさはいっさいないということが支持率上昇につながっていった。

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