10年引きこもった30歳がバーを開業したワケ 「他人と関わるのが怖い」からの変化
――まずは現在の仕事から教えてください。
今年5月から「やさいとお酒のお店 key to」(名古屋市西区)というダイニングバーを始めました。開店は週3日。午後3時ごろからお店に入って準備し、お店を閉めて片付けが終わるのは午前2時ごろです。それ以外は在宅で週2日、Web版『不登校新聞』の発行を手伝っています。
――そう考えるとほぼ毎日、働いていますね。
そうなんです。なので「ひきこもりです」とは、もう言えません。ただ、どこかの企業で働いたことはないので「社会人」というには抵抗があるんですが。
カースト上位のいじめと人間関係
――鬼頭さんは中学2年生から約10年間、ひきこもっていました。きっかけはなんだったのでしょうか?
小・中学校時代の人間関係や学校生活に疲れて、他人と関わるのが怖くなったからだと思います。
小学校高学年から中学2年生で不登校をするまで、僕が仲よくしていたグループはクラスカースト(教室間の序列)で言えば上位グループだったと思います。
十数人のグループで、主要メンバーは同じ塾に通っていました。ふだんは仲がいいんですが、何かのきっかけで関係がすぐに壊れてしまうというか、誰かがグループのみんなから攻撃される対象になってしまう。そんなことがある日突然、起きてしまうんです。
その矛先は特定されていなくて、自分にも矛先が向かってきましたし、自分もその輪に加わっていたこともありました。なんていうか関係がすごく希薄なんですね。
今から考えれば異常な関係だったことはわかりますが、当時はそのグループにしがみつこうと必死でした。必死で殺伐とした人間関係のなかにいた結果、クラス替えによってそのグループから離れてしまったとき、絶望感に近いものを感じて学校へ行けなくなりました。