卓球新リーグ開幕でもどこか惜しかった理由 出足好調も…Tリーグを実際に見て感じた点

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卓球という競技の特性で、これまで興味がなかった層がすぐに来場するというのは少しハードルが高いのかもしれない。

開幕前日会見で話したTリーグの松下浩二チェアマン(編集部撮影)

だからこそ、まずは今年、来年で卓球ファンにいかに足を運んでもらうかの土台づくり、いかに付加価値をつけるかがポイントになるのではないか。

平野美宇も、Tリーグの将来と付加価値についてこう話していた。

「Tリーグは長く続いていくことが大事です。そのためにはライトなファンだけでなく、コアなファンを増やして、そういう方に会場に来てほしい。

実際試合をしてみて、これまで感じたことがなかったような応援の仕方で、外国人とか日本人とかチームも関係なくお互い盛り上がれたのが印象的でした。卓球はまだ決まった応援の仕方がなく、そういうスタイルを観客の方と一緒に作り、取り入れても面白いと思います」

あくまで個人競技である卓球に、チーム戦の要素を取り入れたことは賛否が分かれるかもしれない。

一方で、観客参加型の視点でいえばプラス面も想像できるかもしれない。Tリーグと同じアリーナスポーツであるBリーグ(男子プロバスケットボールリーグ)はクラブのような派手な演出が人気を博しており、観客の満足度を高めるための仕組みづくりは参考にできるだろう。

内向きだった卓球界をどう変えていくのかも含め、松下浩二チェアマンの手腕が問われる。

今はまだ“見切り発車”な感じが否めない

あるチーム関係者は、東京五輪までの展望を以前このように話してくれた。

「東京五輪の直後に、卓球人気をピークにもっていきたいというTリーグとしての願いもある。我々が実際に参戦表明する際にも、見切り発車であれど3年目にピークを持っていくことができればというふうに思っていました。

そういう意味では真価が問われるのは来年、再来年になるのでは、と思いますね。(東京では)メダル獲得の可能性も高く、五輪後に卓球自体が盛り上がることは、非常に期待できるでしょう」

Tリーグが定着することで、五輪後の選手たちの受け皿が生まれ、ユースからの突き上げ、卓球人口の増加、その先には完全なプロ化への可能性も開けてくる。

現在の先行投資段階から、いかに軌道に乗せTリーグ独自の色を加えていくのか。注目してほしい。

(文中一部敬称略)

栗田 シメイ ノンフィクションライター

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くりた しめい / Shimei Kurita

1987年生まれ。広告代理店勤務などを経てフリーランスに。スポーツや経済、事件、海外情勢などを幅広く取材する。『Number』『Sportiva』といった総合スポーツ誌、野球、サッカーなど専門誌のほか、各週刊誌、ビジネス誌を中心に寄稿。著書に『コロナ禍の生き抜く タクシー業界サバイバル』。『甲子園を目指せ! 進学校野球部の飽くなき挑戦』など、構成本も多数。南米・欧州・アジア・中東など世界30カ国以上で取材を重ねている。連絡はkurioka0829@gmail.comまで。

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