卓球新リーグ開幕でもどこか惜しかった理由 出足好調も…Tリーグを実際に見て感じた点

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料金設定については、開幕戦の特別価格ということを考慮しても、高めに設定されていた。最高価格であるSプレミアムシートは10万円。以下6万円、4万円、3万円と続き、2階席でも大人は7000円。高校生以下は4000円という設定だった。

他スポーツの国内リーグと比較しても高い部類だった。特に気になったのが、高校生以下という大枠での料金設定についてだ。多くの小中学生や子どもたちがいたことあり、せめて学生料金は格安にすべきだったのでは、と感じる部分もあった。

競技としての魅力は存分にある

開幕カードの中で最も観衆が湧いたのは、平野美宇(日本生命)とソ・ヒョウォン(TOP名古屋)のシーソーゲームだ。カットマンであるソが、平野の猛攻をことごとく返していくという白熱の展開に、会場は大きな声援に包まれた。

その理由は、目に見えた”わかりやすさ“にあったのではないか。進歩が早い卓球の技術はかなり細分化されており、カバーできる一般的なファンも多くないかもしれない。だが、高度なラリーの応酬というシンプルな凄さを目の当たりにした結果、双方の歓声が入り乱れることになった。実際に筆者も、「毎試合このレベルの試合が見られるなら」とエンターテインメントとしても十分に満足できるものだった。

チケット以外のプロリーグ運営の主軸となる、グッズ収入、放映権料収入にも簡単に言及したい。

両国国技館名物のやきとりはTリーグ特別仕様になっていた(編集部撮影)

グッズに関しては、会場内でもユニホームやTシャツ、タオルの販売があり、ネットでも購入が可能だ。

ただ、スペースや売り場に関しては急造感も否めず、見せ方はまだまだ工夫の余地があるはずだ。

両国名物のやきとりとTリーグがコラボした商品など、面白い試みも行われていたのは印象的だった。

放送権に関しては、開幕戦こそBSテレ東、テレ東の中継があったが、今後は数回スカイAの放送が予定されていることを除けば、あとはほぼ全試合ネット配信されるひかりTVとひかりTVチャンネル+に限定されている。

もちろん、現時点ではまだ評価できるタイミングではないが、来年以降どのようにファンに訴求していくか、運営面でも放映権料収入をどう増やしていくかというのは肝になっていく。何より、知名度を上げるための露出の面を考慮しても、メデイア配信をどう増やしていくかはリーグの未来を占ううえで重要な指標になる。

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