卓球新リーグ開幕でもどこか惜しかった理由 出足好調も…Tリーグを実際に見て感じた点
卓球界にとって、歴史的な一夜に伊藤美誠の姿はなかったーー。
男女ともメダルなしに終わった2008年の北京五輪から構想10年、卓球の新リーグである「Tリーグ」がついに幕を開けた。
開幕前日の10月23日に福原愛が引退発表を行い、24日の男子開幕戦には多くの報道陣と、5600人を超える観客が東京・両国国技館に足を運んだ。
幼少期から卓球界を牽引し続けた福原が現役を去り、次世代を担う選手たちが集うTリーグの開幕――。卓球界にとってひとつの時代の節目ともいえ、多くの報道陣や観客が集まったのは自然な流れだったのかもしれない。
「エンターテイメントとして見た時の卓球の価値、地方での集客力、販促力やチーム運営、いかに強化につなげるのか、中国人のトップ選手を本当に呼べるのか。課題を上げればキリがありません。
正直、2000人集客できれば御の字、というふうに考えていましたし、もっとバタバタするのでは、と危惧していました。
それもあって、開幕戦を見れば極めて好調といえるのではないでしょうか」(放送局関係者)
無事に開幕したことで、ホッと胸をなで下ろした関係者も多いはずだが、まだまだ課題が多いのが現実だろう。今回は取材を通して見えてきた、Tリーグの“惜しい”ポイントを挙げていきたい。
各選手が葛藤を覚えたリーグへの参戦
リーグ参戦に当たり選手たちを最も悩ませたのは、2年後に迫った東京五輪の選考にTリーグが直接的に関係しないということだろう。卓球の世界ランキングは、国際大会などの勝利ポイント数で定められるが、Tリーグはその対象外だ。端的に言えば、世界大会での勝利数を積み重ねることが五輪の代表枠に直結する道といえる。
伊藤は、不参加の理由を所属先のスターツを通してこう発表している。
「参戦に関してはとても悩みましたが、私は小学生からの夢『オリンピックで金メダル』を実現させるため、またこれまで私を育ててくださった卓球界へ恩返しするためにも、2020年の東京オリンピックで金メダルという結果を出すことがいちばんと考え、それまでの限られた時間を強化に専念すると決めました(一部略)」
木下アビエル神奈川から参戦を決めた石川佳純もギリギリまで参戦を表明しなかったが、それは五輪を強く意識してこそで、伊藤も含めその選択は決して責められるべきではないだろう。
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