KYB、免震・制振不正ダンパー1万本の巨大衝撃

非主力事業だが、業績を暗転させる可能性も

KYBは10月19日に不正の疑いがある物件名の一部を公表した。会見で謝罪する同社の齋藤圭介専務執行役員(右)とカヤバシステムマシナリーの廣門茂喜社長(撮影:風間仁一郎)

油圧機器メーカー大手のKYBによる免震・制振オイルダンパーの検査データ改ざん問題が長期化の様相を呈している。

「日程を守るために作業を省いてしまった。品質重視でやるべきだった」。10月19日に国土交通省で記者会見したKYB。子会社で免震・制振装置の製造を担うカヤバシステムマシナリーの廣門茂喜社長は反省の言葉を口にした。

少なくとも15年間不正が続いていた

だが、その代償は計り知れない。改ざんの疑いのある免震・制振装置は全国で987件、計1万928本に上る。改ざんは少なくとも15年間にわたって行われ、2007年にKYBから子会社に当該の事業が譲渡された後も、検査員が不正を口頭で引き継いでいた。検査で不適合になると製品の分解や調整に3〜5時間かかるため、納期に間に合わせようと作業のやり直しを避けたことが不正の一因になったという。

KYBは19日にまず対象物件70件を公表したが、いずれも官公庁舎だ。未公表物件の中には原子力発電所や五輪関連施設、空港などの名前も浮上。さらに未公表物件の3割近くがマンションなどの住居だ。今後のマンション名の公表について、KYBの齋藤圭介専務執行役員は「対応を検討する」と述べたが、公表すれば、風評被害や資産価値の目減りなどで混乱に拍車がかかる可能性もある。

KYBが不正を行っていた時期には、2005年に元1級建築士による耐震データ偽装、2015年に東洋ゴム工業の免震偽装、さらに旭化成子会社の杭打ちデータ改ざんが次々に明るみに出ていたが、KYB社内では不正行為を改めるなどの自浄作用が働かなかった。

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