現行パッソは、JC08モードで24.4~28.0km/L、WLTCモードで19.0~21.0km/Lという燃費性能を持つ。エンジンとモーターを併用するハイブリッド車と比べて、大きく見劣りするワケではない。ただ、排気量1000cc・直列3気筒のガソリンエンジン1本のみというのは、今の時代には平凡なパワートレーンに映る。最高出力も60馬力、最大トルクも9.4kgf・mと、特筆すべきスペックでもない。
それでもパッソが堅調に売れている理由は、その絶妙な立ち位置にある。
パッソはコンパクトカーでは最小・最安の車種
トヨタがダイハツからOEM調達している「ピクシス」シリーズの軽自動車を除き、パッソはトヨタのコンパクトカー(登録車)で最小・最安の車種となる。
パッソと同じくトヨタのコンパクトカー「ヴィッツ」と「アクア」のボディサイズを比較してみよう。
ヴィッツ 全長3945×全幅1695×全高1500~1530mm
アクア 全長4050~4060×全幅1695~1715×全幅1455~1500mm
車高を除けば、パッソは、横幅1700mm未満の「5ナンバーサイズ」ギリギリまで横幅を広げているヴィッツやアクアよりも、さらにボディサイズが小さい。パッソはそのボディサイズなどからみると、いわゆる「Aセグメント」と呼ばれるカテゴリーに分類され、「Bセグメント」に当たるヴィッツの弟分と考えていいだろう。
狭い日本の道路で、パッソの小ささは「取り回しの良さ」として重宝されるシーンは少なくない。運転に慣れていない初心者や女性、身体能力が低下した高齢ドライバーなどに受け入れられやすい。
入手しやすい価格もポイントだ。3車種の車両本体価格も比べてみよう。
ヴィッツ 118万1520~231万6840円
アクア 178万5240~252万7200円
パッソとヴィッツの最安グレードはほぼ価格が一緒となるが、売れ筋グレードで比べるとパッソのほうが価格は安めに見える。ハイブリッド専用車のアクアに至っては、最廉価グレードでもパッソの最上級グレードよりも高い。コンパクトカーを買うユーザーにとって、価格の安さは選ばれるポイントの一つになる。
パッソと同じくAセグメントと呼ばれるコンパクトカーで、トヨタ「ルーミー/タンク」やスズキ「ソリオ」など背の高い車種を除けば、競合するのは日産自動車「マーチ」、三菱自動車「ミラージュ」がある。ただ、現行マーチは2010年、現行ミラージュは2012年にそれぞれデビューしており、両車種ともモデルが古く、パッソのほうが商品競争力は相対的に高いだろう。
マーチ、ミラージュともにタイで生産されている車というイメージも消費者には若干ネガティブに映るようで、何よりトヨタブランドに信頼を置いて選んでいるユーザーも少なくないはずだ。
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