食品スーパー「オーケー」の有報が面白すぎる 首都圏に113店、独自なのは戦略だけじゃない

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売り場にも段ボールが積まれ、飲料は冷やさずに売る。こうした効率運営が低価格につながる(撮影:今井康一)

それもそのはず。同欄を書いているのは、創業オーナーである飯田勧代表取締役会長本人である。飯田会長が草稿を書き、二宮涼太郎社長などとやりとりをしてまとめる。

オーケーは毎年4月に取引先を集めた「オーケー会」と呼ばれる会合を開いている。実は有報の「対処すべき課題」は、その際のスピーチ原稿を活用したものだ。新年度にあたりその年の会社方針を取引先に説明したもので、平易な表現で具体的な施策が並ぶのは、そうした理由もある。

閉店知らずで31期連続増収

同社の業績は好調だ。31期連続で増収が続いており、同社が重視する経常利益も年によって多少のでこぼこはあるが、基本的なトレンドは右肩上がり。

低価格ゆえに粗利率は同業他社よりも低いが、販売経費を絞り込むことで、同業他社よりも格段に高い営業利益率を確保している。1982年以降に開業した店舗では、移転拡張や老朽化による閉店はあっても、業績不振での閉店は皆無だ。

そのオーケーが最も重視する経営指標は売上高だという。トップラインを重視する企業は今や珍しいが、採算を確保する施策を徹底していれば、トップラインの上昇に利益はおのずとついてくる、という発想だ。

創業以来の飯田氏の信念は、トップラインを上げるために1人でも多くのOKファンを作るということ。そのファン作りの施策の一つが「オーケークラブ」だ。入会すると食料品について約3%相当の割引が受けられる、いわゆる友の会的組織だ。

流通業の一般的な会員組織は、顧客が割引などの特典を受ける代わりに自らの情報を提供、企業側が情報を分析してマーケティングなどに生かすといったギブアンドテイクの関係が成立している。

一方、オーケークラブは郵便番号の登録と200円の手数料のみで入会できる。顧客側が一方的に得をしていることになるが、「ファンを増やすことが目的なので、損をしている認識はない」(二宮社長)という。

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