「18歳成人」への引き下げで混乱必至の成人式 成年と成人は違うという意見まで登場

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政府は、民法改正には踏み切ったが、成年年齢の引き下げが多方面に影響を与え、また懸念される問題も多いことから、法務大臣を議長とし、関係省庁の局長クラスを構成員とする「成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議」を今年の4月から発足し、検討を始めている。

18歳への引き下げが決まってしまった以上、若年層の消費者被害を減らすための消費者教育や消費者契約法等、消費者法での被害予防や被害救済の手立ての充実が求められるが、改正決定後、特に注目を集めている問題がある。

成人式はどうなるのか

自治体が主催する成人式の扱いだ。18歳成年にあわせて成人式の対象年齢を18歳にするといろいろ不都合が生じるという指摘だ。

成人式について定めた法律はない。「成人の日」の行事については、1949年に当時の文部省から次の内容の事務次官通知が出されている。

「該当者の年令については、民法並びに選挙法によれば満20歳、児童福祉法並びに労働基準法によれば満18歳となっているが、地方の慣習を尊重して成人として自覚を持ちうる適当な年令層を対象として行事を計画すること」

ここでも20歳と決めているわけではない。しかし、前述の連絡会で提出された資料によると、現実には、成人式の対象年齢を「実施する年度に20歳になる人」とする自治体は98.6%、「実施する年の前年度に20歳になる人」(式典参加者が全員20歳以上)とする自治体が1.4%あった。いずれにしても20歳成人を意識した式典としていることに変わりはない。

民法改正により、成年年齢が18歳になるのだから、成人式も当然18歳を対象年齢にすると思われたが、課題が明らかになってきた。現在、多くの自治体が成人の日(1月の第2月曜日)かその前後に式典を行っているが、18歳を迎える高校3年生は、多くの者が受験・就活シーズン真っ只中であり、式典に参加しづらい時期であるということだ。

1月ではなく、帰省の時期である8月に行っている自治体も12%ほどある(前述資料)から、18歳を対象年齢として、開催月をずらせばこの問題はかなり解消できると思われるが、成人式の祝い事としての意味が薄れるとの意見も多い。

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