アドビが「アップルとの仲」を強調する事情

Adobe MAXで「iPad用アプリ」を発表

アドビのスコット・ベルスキー氏(右)は10月15日の「Adobe MAX 2018」基調講演で、アップルのフィル・シラー氏をステージに招き、iPadとPhotoshop、AR分野での親密なパートナーシップをアピールした(筆者撮影)

アドビがアメリカ時間10月15~17日に開催したクリエーティブの一大イベント「Adobe MAX 2018」の初日の基調講演で、アドビのCreative Cloud担当エグゼクティブバイスプレジデント兼製品最高責任者であるスコット・ベルスキー氏は、意外な人物を呼び込んだ。その人とは、アップルのワールドワイドマーケティング担当シニアバイスプレジデント、フィル・シラー氏だった。

近年、アドビのイベントはマイクロソフト色が非常に強かった。実際、今年もAdobe MAXのゴールドスポンサーとしてマイクロソフトはその名を連ねているが、アップルの名前はこれまで通りどこにもなかった。

アドビは最先端の領域で、アップルのデバイスに依存する3つのアプリを披露した。1つ目は往年の画像編集アプリ「Photoshop」のiPadへの移植。2つ目はブラシや紙、絵の具を数値的に再現する高度なiPad専用スケッチアプリ「Project Gemini」。これら2つのアプリは2019年に提供される。そして3つ目が拡張現実(AR)編集アプリ「Project Aero」だ。

今年、アップルがアドビのイベントで存在感を示した背景はどこにあったのだろうか。その理由を2つの切り口で見ていこう。

機が熟したiPadとPhotoshopのブレークスルー

アップルは2010年にiPadをリリースして以来、世界のタブレット市場でトップの座を明け渡したことは一度もない。2014年から3年にわたって長らく販売台数の低迷を続けてきたが、それでもiPadはつねにトップのタブレットだった。

ここ4四半期続けてタブレット市場は縮小しているが、iPadは成長を続けている。そのきっかけとなっているのが、2015年に登場した上位モデルとなるiPad ProとApple Pencil、そして2016年に登場した廉価版のiPadだ。

低価格版のiPadは329ドル(教育向けには299ドル)で、64ビットプロセッサーを備え、少なくとも4年は使い続けられる性能と堅牢性を持ち、教育市場や企業での導入のニーズを満たしている。

ではiPad Proはどうだろうか? 12.9インチと10.5インチの2つのモデルを備え、特に後者は6億台ともいわれる5年以上経過したPCの代替を目論んでいるが、その戦略が思うように進んでいない結果が、長期の低迷を招いていた。

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