NHKが本気で挑む「4K/8K」勝負番組の衝撃 12月から始まる番組をMIPCOM 2018で発表

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メキシコの水中洞窟に初めて8Kカメラを入れた「神秘の水中鍾乳洞 セノーテ」(写真:NHK)

まるで海面の上でダイバーが空を飛んでいるかのように見える映像は巧妙なライティングによって、肉眼で感じられるように境目をハッキリと浮かび上がらせたうえで、8Kカメラによって初めてとらえることができたと、年間180本以上も水中撮影をしているNHKのカメラマン・松本恭幸氏は話す。

これ以外にも丁寧なライティングで美術品の風合いを完璧に8Kカメラでとらえた美術作品としてフランス政府と共同制作が進められてきた『ルーブル美術館 美の殿堂の400年』は、さらに多くの所蔵品の収録を進めて4回に分けて放映するほか、ベルサイユ宮殿やローマ・コロッセオに実際に旅行したかのような体験を得る“2時間でまわる”シリーズも制作している。

8Kになって変わることは?

年間180日以上の水中撮影をこなす松本カメラマン(筆者撮影)

また、来年3月にはカズオイシグロ原作の『浮世の画家』が、8K制作でドラマ化されるなど、新しいトライアルが目白押しだ。現地では「8Kになるとドラマ撮影時のシーンの切り取り方が変わるのでは」といった質問も出ていたが、どのぐらいの画角でドラマを愉しんでもらうのか。また、その際にどのように絵作りをすべきかも含め、今後、さまざまなトライアルを行っていくという。

カンヌでの8K作品の上映は、いずれも投射する機材の関係から4K/HDRでの視聴ではあったが、撮影と編集のプロセスが完全に8K化されていることもあり、最終的な視聴体験は4Kではあるものの、ほかの4K作品とは比べものにならないリアリティだった。

実際に8Kという解像度を用い、どんな映像を届けるかは「まだ模索中」というが、その可能性は4Kディスプレーでも充分に伝わる。

なお、すでにシャープが8Kチューナー内蔵テレビを発表済みだが、NHK本局のある代々木のスタジオパーク以外にも、全国のNHK、ふれあいホール、NHK放送博物館、NHK放送技術研究所などで8K映像を愉しめる場所を設置していく

NHKのデモコンテンツは、これまでも何度も見ているが、今回の一連の作品はそれらをはるかにしのぐものだった。

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