NHKが本気で挑む「4K/8K」勝負番組の衝撃 12月から始まる番組をMIPCOM 2018で発表

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ニューラルネットワーク処理によって着色された記録(筆者撮影)

このツールで真っ先に取り組んだのが、35ミリフィルムで制作された『ミクロワールド』という細胞の世界を紹介した番組。また『新日本紀行』というかつての人気番組であり、1960年代の日本のリアルを映しだした番組は16ミリフィルムでの撮影だったそうだが、こちらも修復技術の進歩もあるのだろう。4Kでの放送に充分な納得感を感じさせる仕上がりだ。

日本の巨匠と言われる映画監督の作品もBS4Kで放送する。小津安二郎、黒澤明、溝口健二。3人の代表的な映画監督の作品の4Kリマスター版となる。カンヌでは『羅生門』の高精度の映像が流されたが、元となるネガがモノクロということもあり、現代のレベルで見ても高精細で細かなディテールが際立つ映像に仕上がっていた。

こうした、無限とも思えるアナログコンテンツの4K復元は、今回発表されたタイトルだけでなく、さらにスコープを拡げて多様なコンテンツの復元、放映が行われる予定だ。

さらに、AI技術(ニューラルネットワーク処理)によるモノクロ映像に対する“着色”を行った映像表現の開発にも取り組んでいる。

1930年代に撮影されていた「ノモンハン事件(日本とソビエトに間で発生した国境紛争)」を記録した35ミリフィルム映像を元にした『NHKスペシャル』、モノクロ時代の『新日本紀行』のうち鳥取・米子をテーマしたエピソードが、ニューラルネットワーク処理による天然色映像として蘇らせており、4K番組への活用が期待される。

“フル8K制作”の可能性を示す「セノーテ」

一方、8K放送はフィギュアスケートNHK杯、大相撲などをHDRで放映するほか、22.2チャンネル音声による音楽コンサート、8Kリマスターされた映画などの放映が予定されているが、4Kとは異なり、当面の間、エンドユーザーによる録画視聴が不可能であることから、高品位素材の繰り返しの放送が行われる。8K番組に関しては、BS4Kでも夜10時〜12時までの2時間、「8Kベストウィンドウ」として4K解像度でも放送される予定だが、やはり目玉は得意の特番だ。

メキシコはユカタン半島にあるサッカースタジアムと同等の大きさがある水中洞窟に初めて8Kカメラを入れた『神秘の水中鍾乳洞 セノーテ』は、その透明度の高さ、“悪魔の鐘”と言われる幻想的な造形などに加え、海水と淡水が水中でハッキリと境界として視認できることで知られている。

屈折率の違いにより、澄み切った淡水から見ると海水との境目が、まるで海面のように見えるが、そのままカメラで撮影しても、なかなかその雰囲気は再現できない。

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