2031年なんば「素通り」危機、南海はどう防ぐ? なにわ筋線で「梅田」直通実現、その影で・・・

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10~30階のオフィスフロアには開放的な無柱空間が広がる(記者撮影)

10階から上がオフィスフロアだ。大阪のオフィス需要は梅田、中之島、淀屋橋など市内の北側に集中しており、オフィス市場における難波の位置づけは決して高くない。ただ、なんばスカイオは駅直結という利便性を武器に、「賃貸面積の8割強が成約済み」(森田課長)だ。南海沿線や市内のほかのエリアからテナントを集めただけでなく、アメリカの大手シェアオフィス業者「ウィーワーク」も入居し、1400席を提供する。

「難波は商業の集積としては分厚いものがあったが、オフィスの集積は十分ではなかった」と、高木専務は難波のオフィス市場について説明する。中小規模のビルが乱立する中に登場した超高層ビル。「このビルの完成で波及効果が出てくれば、オフィスの集積が進み、街のバランスがよくなる」と、高木専務は意気込む。

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オフィス、医療ツーリズム、あるいは外国人が好む日本の伝統文化を提供する。南海がなんばスカイオに期待する役割は、現在のなんば駅周辺に欠けているものを補うという点で共通している。それは、なにわ筋線開業後もなんば駅が難波の中心であり続けるための布石かもしれない。

星野リゾートも進出へ

南海は開発エリアをなんば駅の外側にも広げている。殺風景だったなんば―今宮戎(いまみやえびす)間の高架下には商業施設が続々とオープンし、多くの人でにぎわうエリアに変貌した。さらに今宮戎から新今宮に至る高架下も開発して、広い範囲での回遊性を高めたいともくろむ。2019年には新今宮駅前に外国人向けの「ハローワーク」を開業する。

南海電鉄・なんば―今宮戎間の高架下を開発した「なんばEKIKAN」。飲食店に加え、スポーツ関連ショップやクライミングジムまである(記者撮影)

新今宮の南側には簡易宿泊所が集中する「あいりん地区」があり、観光客が訪れるエリアとはとても言いがたかった。しかし、近年では宿泊料金の安さが注目を集め、訪日客がやってくるようになった。2017年には星野リゾートが「新今宮駅前に大型ホテルを2022年に開業する」と発表したことも大きな話題になった。「新今宮はそのポテンシャルが評価されていなかった。星野リゾートの進出で見直されるきっかけになる」と、高木専務は期待する。

なんば―新今宮間に多くの人が訪れるようになれば、商業集積が進んでいるなんば駅周辺は引き続きにぎわいを維持することができるだろう。なにわ筋線開業後のなんば駅は現在の存在感を維持できるか。今後10年以上続く南海の戦いがいよいよスタートした。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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