ホンダ「RC211V」に始まるモトGPマシンの系譜 世界最高峰ロードレースの日本GPも開幕
このマシンが走行していた当時はフロントにカーボンディスク、リアタイヤ径は16.5インチだったが、実際には永きにわたってデモンストレーション走行にも耐えうる仕様として、フロントディスクはステンレス製に変更、リアホイールも一般入手可能なタイヤを使用できるように17インチへ変更している。
水温が60度を超えれば走行開始だ。ギアを1速に入れ丁寧にクラッチミートさせる。現代の市販スーパースポーツマシンのように低速トルクがありスムーズにマシンが走り出す。前後のブレーキ確認を行い、サスペンションの作動も確認する。ハンドルバーを左右に振りながらロール方向へマシンを寝かし、ステアリングダンパーやステアリング回りにフリクションがないかも確認する。
スロットル全閉から開度1〜2%時にはドライブチェーンへのわずかなショックも感じるが、これはレーシングホイールのスプロケットダンパーが小型だからだろう。
スロットル開度に忠実なエンジンだが、開度を増やし回転計の針が1万rpmを超えると凶暴とも言えるエンジンパワーだ。
不思議な感覚をもたらす5気筒エンジン
最高回転は1万6500rpmmまで可能だが、テスト走行時は1万4500rpmでシフトアップ。この5気筒エンジンは不思議だ。不等間隔爆発特有のパルス感が耳に聞こえてくるのだが振動はほとんど感じない。1速から2速へのシフトアップ時には軽くフロントがリフトしてくる。
とはいえ、トルクフルな4ストロークエンジンはどの回転からもレスポンスし、テストコースでは何速でもフレキシブルに走れる。ただし、スロットル開度を開けなければ……というのが大前提だ。
もし、不用意にワイドオープンとなった場合、電子制御のないマシンは容赦なく竿立ちとなりライダーは振り落とされることも覚悟しなければならない。
一方、リアサスペンションシステムにユニットプロリンクを採用したハンドリングはまさに雲の上に乗るほどの良さだ。リアサスペンション取り付け上部が車体を持ち上げないデザインは明らかにショックが少ないものの、トラクション感はつかみにくい点も挙げられる。しかしながら、サスストロークを多く取ることでバランスを保つこのハンドリングは秀逸。
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