ホンダ「RC211V」に始まるモトGPマシンの系譜 世界最高峰ロードレースの日本GPも開幕

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最後に来る「V」はVictoryでありV型エンジンであり、5気筒の5はローマ数字でやはり「V」というこだわりようだ。

排気量990ccを上限とされたエンジンは、2輪レーシングマシンとしては珍しいV型5気筒を採用し、徹底的にハンドリングへの好影響を達成している。

V型バンクの前シリンダーを3気筒、後ろシリンダーを2気筒とすることで、吸気・排気補記類を装着した状態でエンジンアッセンブリーを「卵型」に近づけ、新設計のアルミツインスパーフレームの理想的な位置に納めることに成功している。

フレームは横剛性を落とすことに成功しているが、新機構の「ユニットプロリンク」というリアサスペンションシステムの恩恵の1つだ。これは、リアサスペンション取り付け部のフレーム側「クロスメンバー」を排除することで、フレームへの突き上げ感やリアに加重が掛かっている場合でも、乗り手に優しい乗り味を提供してくれる。

初年度に16戦14勝を果たしたマシン

「クロスメンバー」がないことで、フレームは横方向への「しなり」を作りロール方向への操舵感の向上を得ることができた。V型5気筒エンジンとユニットプロリンクの組み合わせはレーシングライダーへ確かなドライバビリティを提供している。

それは、ピッチ・ロール・ヨーモーメントの完璧なコントロール性であり、事実2002年シーズン16戦中14勝というリザルトにつながった。

筆者が乗ったRC211Vは2002年シーズンからスタートした新生MotoGPの規定に合わせたホンダの4ストロークマシンだ(写真:Honda)

今回、動態確認として実走行したマシンは2002年にバレンティーノ・ロッシ選手がチャンピオンを獲得したマシン。純レーシングエンジンにはセルスターターはないので、マシンをスタンドに掛けたままギアを2速に入れ、クラッチを切りリアタイヤを専用スターターを使い高回転で回す。

リアタイヤの回転が上がりきったことを確認しクラッチをつなぐと、高性能なフュエールインジェクションに助けられエンジンはあっけなく着火する。

回転を保ちいったんニュートラルを出したうえで入念に暖機を行う。3000rpm前後をキープ。シンプルだが機能美にあふれた回転計は1万7000rpm以上まで刻まれている。

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