ホンダ「RC211V」に始まるモトGPマシンの系譜 世界最高峰ロードレースの日本GPも開幕

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当時、バレンティーノ・ロッシ選手がすばらしいコントロールでリアタイヤをスライドさせながらRC211Vをオーバーステアに持っていき旋回力を高めていたことも思い出させる。

このマシンの乾燥重量は現在のマシンよりはるかに軽い145kg。エンジン出力は公式発表されていないが、当時は250馬力以上と関係者の間ではささやかれていた。

今回のテストでもそのバランスの取れたパフォーマンスに改めて驚かされるばかりだ。すべての作動に問題はなく、世界的に見ても貴重なV型5気筒エンジンは快音をとどろかせ無事にテストを終了した。

今シーズンの「RC213V」を乗った感触は

余談だが、筆者は今季のシーズン直前にMotoGP最高峰クラスに日本人で唯一参戦している中上貴晶選手が走らせる最新型マシンRC213V(1000cc V型4気筒)も実走行テストを行った。

新型マシンRC213Vと筆者(写真:筆者提供)

初期型RC211Vから16年が経過し進化も著しく、当時は採用されていなかった電子制御によるスロットル・フライバイワイヤーや、トラクションコントロールに慣性計測装置による加速時のウィリーコントロールなどさまざまなライダーズエイドが導入され、レーシングライダーの走りをサポートしていることがわかる。

また、エンジン出力(推定300馬力オーバー)の向上も著しく、1速と同等の加速感が5速でも6速でも延々と続き2輪車としてはほかと比較できない加速力であった。電子制御技術導入によりエンジン性能をフルに使い切れるからこそ、ライダーへの負荷は計り知れないものがあるだろう。

RC213Vと操る筆者(写真:Honda)

最新型マシンで戦うMotoGP第16戦日本GPが今週末にツインリンクもてぎで開催される。昨年のディフェンディングチャンピオンのマルク・マルケス選手が現在ポイントリーダー。今大会でのチャンピオン獲得の可能性が高い。

一方、中上貴晶選手にも注目だ。昨年のこの大会ではMoto2クラスでポールポジションも獲得、速さは見せているだけに、どうまとめてくるか? 

最高峰MotoGPマシンでの戦いに、期待が高まるばかりだ。

宮城 光 モータージャーナリスト

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みやぎ ひかる / Hikaru Miyagi

1962年生まれ。1982年鈴鹿サンデーオートバイレースに於いてデビュー3位。直後にモリワキレーシングと契約、1983年鈴鹿4耐で優勝、同年全日本F3クラスとGP250クラスに於いてチャンピオン獲得。1984年全日本F3クラス、F1クラスチャンピオン獲得。1988年HondaのHRCと国内最高峰GP500ccライダーとして契約。1993年より活動の場をアメリカに移し、全米選手権でチャンピオンになるなど、日本だけでなく海外でも活躍。1998年からは国内4輪レースでもその才能を発揮し、翌年の「4輪スーパー耐久シリーズ」ではチャンピオンを獲得する。また、世界耐久選手権シリーズ・鈴鹿8時間耐久ロードレースでは2003年より5年間ホンダドリームレーシングの監督を務めた経験ももつ。2016年には米国ボンネヴィルにおいて4輪車の世界最高速度記録を達成、世界記録保持者。開発車両ではTeam無限のマン島TT参戦車両・2輪電動マシン「神電」の初期からの開発ライダーを担当し2018年時点で5連勝中、2019年もチャレンジする。一方では、警視庁及び企業向け交通安全講話やライディング&ドライビング講師、専門学校講師などのほかに、 日本テレビのMotoGP解説者や雑誌などのメディアでレースやバイクの解説を務めるなど、多方面で活躍中。ホンダ・コレクションホールではホンダ歴代の2輪4輪グランプリマシンの維持管理テストレーサーを務める。無類のラジコン好き。

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