米銀大手3行、7─9月期は2ケタ台の増益

金利高・融資拡大が追い風、費用節減も奏功

 10月12日、米銀大手シティグループなど3行が発表した7─9月期決算は2桁台の増益となり、好調な経済成長と減税が米銀行業界の追い風になっていることが裏付けられた。ロシア・サンクトペテルブルクで昨年6月撮影(2018年 ロイター/SERGEI KARPUKHIN)

[ニューヨーク 12日 ロイター] - 米銀大手3行が12日発表した7─9月期決算は2桁台の増益となり、好調な経済成長と減税が米銀行業界の追い風になっていることが裏付けられた。

この日に決算を発表したのはJPモルガン・チェース<JPM.N>、シティグループ<C.N>、ウェルズ・ファーゴ(Wファーゴ)<WFC.N>。3行そろって純金利マージン(NIM、利ざや)が拡大したほか、ウエルスマネジメントなどの主力部門が安定的な収益源となっていることも確認された。

米銀各行は2007─09年の金融危機を受け経費削減策を導入。その効果が出ているほか、トランプ政権が昨年決定した減税策の恩恵も受けている。

JPモルガンのダイモン最高経営責任者(CEO)はアナリストとの電話会議で「賃金は上向いており、労働参加率も上昇し、与信も健全な状態となっている。住宅は供給不足、中小企業も含めた企業信頼感のほか、消費者信頼感は極めて高い。ある程度の向かい風は見られるものの、これらのことが当面は成長のけん引役となる」と述べた。

ただ、好調な経済が銀行業界全体への追い風となっているものの、恩恵の度合いには各行で差が出ている。

米銀最大手のJPモルガンは債券トレーディングが不振だったものの、金利上昇を受けた金利収入の増加や貸し出しの伸びが寄与し、純利益は24.5%増の83億8000万ドルとなった。1株当たり利益は2.34ドルと、リフィニティブがまとめたアナリスト予想の2.25ドルを上回った。

資産規模で3位のシティグループは税率の低下や費用削減策などが寄与し12%の増益。4位のウェルズ・ファーゴはコスト削減策などが奏功し32%の増益となった。

ただ、銀行業界全般にわたり事業環境が良好となっているものの、3行ともそろって投資家やアナリストが手放しで歓迎できる結果を発表したわけではない。

ウエルズ・ファーゴは2年前に表面化した不祥事の後始末になお追われているほか、借り換え需要の急減で住宅ローン事業が圧迫されている。大幅な増益となったものの、1株当たり利益は0.01ドル予想に届かなかった。

JPモルガンでは債券トレーディング収入が10%減少。債券トレーディングを巡っては、新たな規制が導入されたことなどで銀行業界全体が課題に直面している。

JPモルガンのレーク最高財務責任者(CFO)は、利益率が薄れるなかで競争が激化しており、市場シェアの維持が難しくなっていると指摘。ダイモンCEOは地政学的な緊張の高まりや英国の欧州連合(EU)離脱のほか、物価上昇などが銀行業界全体の利益の阻害要因となる可能性があるとの見方を示した。

ダイモン氏は、連邦準備理事会(FRB)当局者がインフレ高進を阻止しようとするなか、短期金利は4%に上昇する可能性があるとも指摘。「金利上昇を市場は消化できない可能性がある」と述べた。

午後の株式市場でウエルズ・ファーゴは1.2%高、シティグループは1.3%高、JPモルガンは0.8%安となっている。

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