安倍政権は増税ショックを緩和せよ 日本経済再生のカギは「法人税減税」(上)

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

筆者は、集中点検会合の席で、以下のような発言を行なった。

「私は、図表やデータを示して、上記2点が俗説だと主張しているが、これに対する説得力を有する反論を聞いたことがない。ぜひ、この場で言っていただいてもいいし、またどこかの機会で、ぜひこの事実関係のところだけはしっかりと議論をしたい」

増税反対派からは、私の挑発的とも取れる発言に対する反論は皆無だった。

最終的に、この議論は甘利大臣が、私の見解に対する一定の理解を示されたうえで「もし何か反論があれば文書で提出してほしい」というかたちで引き取られた。

その後、政府に対して、この件に関する文書による反論がなされたという事実を、私はいまのところ耳にしていない。

増税先送りで「アベノミクス」は台無しに

増税を行なわずに済めば、それに越したことはない。これは、すべての国民に共通する感情ではないだろうか。

しかしながら、増税を先送りすることこそが、じつは「アベノミクス」の第一の矢(金融政策)と第3の矢(成長戦略)を台無しにしてしまう、最悪の政策であるという点を強調しておきたい。

「アベノミクス」は、(1)大胆な金融政策、(2)機動的な財政政策、(3)民間投資を喚起する成長戦略、という「3本の矢」から構成される。

増税の先送りによって、どうして第1の矢(金融政策)が台無しになるのか。

そもそも、黒田日銀がここまで大胆な金融緩和を行なえる前提条件は、財政規律が維持されていることにほかならない。財政規律の喪失と一体的に行なわれる大胆な金融緩和は、事実上の「マネタイゼーション(負債の現金化)」の色彩を帯びる。わかりやすくいえば、新規国債発行額の7割を日銀が買い占めてしまうような政策は、諸外国から見れば「日銀が政府の借金を肩代わりしている」と取られかねないのだ。

もし、グローバルな金融市場で日本国債への信認が失われてしまうと、日銀がどれだけ国債を買っても長期金利が下がらない――むしろ、日銀が国債を買えば買うほど財政規律喪失への懸念から長期金利が上がってしまうという、皮肉な事態すら起きかねないのである。

現実に、金融政策の当事者である黒田日銀総裁ご自身が「消費税増税を予定どおり行なうべきだ」と折に触れて主張されてきたという事実を、われわれは重く受け止めるべきであろう。

次ページ5兆円の経済対策を行なう理由
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事