安倍政権は増税ショックを緩和せよ

日本経済再生のカギは「法人税減税」(上)

消費税をめぐる「2つの俗説」

2013年8月下旬、日本中の関心が「安倍政権が消費税率引き上げを当初の予定どおり行なうか否か」という一点に集中した。政府は60名の有識者を官邸に招き、消費税増税の是非や必要とされる政策対応などに関するヒアリングを実施した。

筆者が参加した第2回の集中点検会合(8月27日開催)は、マスメディアから「天王山」と称され、大きな注目を集めた。9名の有識者のうち、浜田宏一・内閣官房参与(イェール大学名誉教授)を中心とする増税反対派4名と、筆者を含む増税賛成派5名が「ガチンコ」の議論を闘わせたからである。

この会議については、内閣官房のホームページで議事要旨が公表されているので、すでにご覧になった読者の方も多いだろう。

当日筆者がとくに強調したのは、前回(1997年)の消費税増税をめぐり「2つの俗説」がまかり通っているという点である。

第1の俗説は、「消費税増税が主因となって景気が腰折れした」というものだ。

しかしながら、個人消費は消費税増税が実施された1997年4―6月期にいったん落ち込んだものの、7―9月期には増税前の「駆け込み需要」が生じる前の消費水準を回復していた(図表1)。その後、日本経済が腰折れした主因は、わが国の金融危機(いわゆる「山一・拓銀ショック」)とアジア通貨危機の2点である。

第2の俗説は「消費税増税を行なうと、結果的に税収が減少する」というものだ。

たしかに、表面上の数字を見ると、わが国の税収は1997年度の53.9兆円から、リーマン・ショック直前の2007年度の時点で51.0兆円まで減少している。しかし、この間、いわゆる「小渕減税」や地方への税源移譲などの制度改正の影響で、わが国の税収が8.3兆円減少した事実を見逃してはならない。制度改正の影響を除けば、2007年度の税収は実質的に59.3兆円まで増加していた計算になるのだ。

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