日本人の想像超える中国「爆走パワー」の現実 世界企業が生まれ、中国人が世界を席巻

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現在、百数十年ぶりに「日中逆転」が起こりつつある。現存の日本人が未経験のゾーンに、アジアは移行しつつあるのだ。

経済面においては、習近平政権が推し進める「21世紀型重商主義」もしくは「中国模式」(チャイニーズ・スタンダード)の大波が、日本にも押し寄せてくるのは確実である。

国を挙げて国産ブランドを育成する国家戦略の脅威

中国は、2025年に製造業強国となる国家戦略「中国製造2025」を定め、補助金や税制優遇策などを駆使して、国を挙げた国産ブランドの育成に余念がない。

2017年からは、中国ブランドを国内外に広めていくとして、5月10日を「中国品牌日」(チャイニーズ・ブランド・デー)に指定した。2018年のこの日には、上海で「中国自主ブランド博覧会」を開き、中国メーカー700社余りが自社製品を展示して誇った。

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また、2018年春から中国中央テレビ(CCTV)が、「中国ブランド計画」の大々的なキャンペーンを始めた。電気通信のファーウェイや家電メーカーのハイアール、グリー(格力)、電気自動車のBYD(比亜迪)など、中国を代表する民営企業18社を選定。日々のニュースの中で、それらの企業がいかに世界に伍する先端技術を駆使して、国家のために貢献しているかを、毎日1社ずつ選んで繰り返し放送するものだ。CM枠ではなくニュース枠、そして国有企業ではなく民営企業というところがミソで、「中国の夢」を国民に鼓舞している。

こうして、まさに国を挙げて「走出去」(中国企業の海外進出)を推し進めている。「一帯一路」とは、中国企業の海外進出および人民元の国際化を後押しするベルトコンベヤーのようなものと言える。それを習近平政権の「鶴の一声」で護送船団方式にしてしまうところが「中国模式」の特徴である。

近藤 大介 『週刊現代』特別編集委員

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こんどう だいすけ / Daisuke Kondo

1965年生まれ。埼玉県出身。東京大学卒業、国際情報学修士。講談社『週刊現代』特別編集委員、『現代ビジネス』中国問題コラムニスト。明治大学国際日本学部講師(東アジア国際関係論)。2009年から2012年まで、講談社(北京)副社長を務める。『未来の中国年表 超高齢大国でこれから怒ること』『パックス・チャイナ 中華帝国の野望』(ともに講談社現代新書)、『「中国模式」の衝撃』(平凡社新書)など著書多数。

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