沖縄知事選が示した「野党は共闘すれば勝つ」 安倍政権は改憲を慎重に進めざるを得ない

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また、来年夏の参院選への影響を懸念する見方も、与党関係者の一部から出ている。ある自民党関係者は「(野党各党は)共闘すれば勝てることが分かり、参院選に向けて勢いづくだろう」と警戒感を示した。

さらに参院選の行方を大きく左右する沖縄県を含めた一人区で、自公対野党の対決構図が鮮明になるなら、自民党にとって、組織力のある公明党の選挙協力は不可欠の要因になる。

そこで、問題になるのが安倍首相の掲げる憲法改正への道筋だ。公明党の山口那津男代表は30日の公明党大会で「(憲法)9条改正が緊急になされるべきだとは必ずしも言えない」と明言し、改憲への慎重姿勢を強めつつある。

友党・公明党が消極的な憲法改正に対し、自民党内からも憲法改正は慎重に進めざるを得ないという見通しがじわじわと広がっている。

野党側を勢いづかせる要因に

また、26日の日米首脳会談では、米国が強く望んだ2国間の自由貿易協定(FTA)につながる可能性がある通商交渉の開始が決まった。農業関係者や自動車業界関係者には、この先の展開に不安感を持つ声が浮上。野党側は10月にも召集される臨時国会で、新たな通商交渉がFTAにつながるのではないかと強く追求する構えをみせている。

今回の沖縄知事選で与党支援候補が敗北し、野党側を勢いづかせる要因が生じたことは否定できず、自民党総裁選での連続3選を踏まえ2日に内閣改造を実施する安倍首相にとって、いきなり向かい風でのスタートになりそうだ。

(竹本能文 編集:田巻一彦)

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