また、紙質による書き心地だけでなく、使いやすさへのこだわりも強い。一つひとつのアイテムにおいて、使われる場面を入念にシミュレーションし、作り込んでいる。たとえば、小型のメモ帳は、机の上よりも、立ちながら片手でメモ帳を持って使用する場面が多いだろう。そのため、表紙と裏表紙は少し頑丈で固い素材にして、台紙の役割も与えて書きやすさを追求している。
また、2009年に日本文具大賞デザイン部門でグランプリを受賞したビジネスパーソン向けアイテム「ニーモシネ」シリーズは、ノート紙を切り取って使用する場面を想定。切取り部分のミシン目の技術にこだわりがある。普通にノートとして使っている時は不用意に切れてしまわない頑丈さと、切り取りたいと思ったときの切り離しやすさが両立している。こうした“使いやすさ”を具現化する技術力とこだわりは、マルマン独自の強みだ。
ロングセラーを支える「ファン」の存在
多くのメーカーの商品が混在する文具店では、どうやって存在感を示すのか。そこにも定番ならではの強みがあった。
マルマンはミュージシャンやデザイナーなど「インフルエンサー」と呼ばれる人も愛用者として抱えている。こうしたインフルエンサーを巻きこみ、有名企業とのコラボ商品の発売といった戦略をとることも可能となっている。
また、マルマンは基本的に新卒採用の募集を行っておらず、中途採用による転職者が多数を占める。各業界でマルマンの文具を利用していた愛用者が、マルマンに入社し、新商品の販売に携わるというケースは少なくない。
外資系電子機器メーカーや玩具メーカー、ベビー用品メーカー出身など、さまざまな前職での経験を持つ従業員が働いている。こうしたダイバシティに富んだ人員構成だからこそ、個性豊かな存在感ある商品が生まれるというわけだ。
こうして生み出された「存在感ある商品」と、そこに人が集まるという好循環が、マルマンを100年企業に押し上げたと言えるだろう。
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