日本は大坂なおみの二重国籍を認めるべきだ パックン「さもないと米国籍を選択するはず」

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高度なスキルを持つ労働者だと、もっと必死に誘致している。「投資・経営」や「人文知識・国際業務」「医療」などの在留資格で日本にいる外国人は配偶者や子供を家族滞在ビザで呼べるし、数年日本に住めば永住権が取れる。さらに、条件を満たせば国籍ももらえる。日本にいてほしいからだ。しかし、そのためには母国の国籍喪失が避けられない。そうすると、母国での身分登録が消されたり、仕事や不動産の所有ができなくなったり、税率や学費がハネ上がったり、国籍離脱税を取られたりと、国によって異なるが、代償が大きい。当事者にとっては、日本への貢献が認められ、報われるかと思いきや、逆に罰せられた気になるかもしれない。

世界の「できる人」はどこかに移り住もうと考えたとき、何の不利益もなしに国籍をくれる国とくれない国を天秤にかけたら、前者を選ぶはずだ。既に就労ビザなどで入って頑張っている優秀な人も、その国に投資するのか、起業をするのか、根を下ろすのか、将来をかけるのか、どれもダメージなしに国籍が得られるかどうかによって判断が変わる可能性がある。少子化が進む国々が人材を取り合っているなか、優秀な人ほど選択肢がある。そして、そんな人ほど自分の国にいてほしい。

韓国もそう考え、韓国系じゃなくても、条件を満たす外国人にも二重国籍を認めるようにした。基準はとても厳しいが、特別扱いするほどほしい、特別な人はいると判断したのだろう。

二重国籍を認めませんか?

日本も好きな条件を付けてもいい。多くの日本人は移民に対して不安を抱えていることが事実だ。外国人に国籍を与えることに抵抗がある人もいる。それが二重国籍だとさらに強い。スパイじゃないの? いざという時は出身国へ逃げないの? 親戚とかぞろぞろと連れてこないの? などなどと疑われるのだ。

でも、国民を安心させる対策はあるはずだ。二重国籍を持っていたら公職に就くことはできない、同盟国出身者に限る、反則した場合は国籍解消となる、家族滞在に制限がある、などなど基準や規則はいろいろ考えられる。ワーストケースシナリオだけに集中して拒絶反応を起こすのではなく、日本のためになる人間を想定し、日本のためになる制度を作ればいい。

日本の国籍を得るのはとても名誉なことだから、最終的には緩和することになるとしても、今は厳しい基準であってもいい人が集まるはず。僕のお勧めの条件としては、25年以上日本に在住している人。日本に不動産を持っている人。コラムをかけるほど日本語力のある人。ショートコントができる人。コンビの相方とそこそこ仲良くしている人……。

それか、制度の詳細を決めるのは後にして、とりあえず今は「全米オープンで優勝した人」だけに絞ってもいい。とにかく、二重国籍を認めませんか?

今から練習しますから!

〔文:パックン(パトリック・ハーラン)〕

「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部

世界のニュースを独自の切り口で伝える週刊誌『ニューズウィーク日本版』は毎週火曜日発売、そのオフィシャルサイトである「ニューズウィーク日本版サイト」は毎日、国際ニュースとビジネス・カルチャー情報を発信している。CCCメディアハウスが運営。

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