イギリス「離脱強硬派」が怒りを隠さない理由 「きっぱり離脱」を求める声が広がっている
ファラージ氏に声援を送る離脱支持者たちに共通しているのは、残留派が圧倒的な政治エリート層に「無視されてきた」「馬鹿にされてきた」という思いだ。
国民投票の結果が出てから、離脱派は頻繁に政治エリート層の揶揄の対象になってきた。
離脱派と残留派の対立
BBCを含むいくつかの調査で、離脱に票を投じた人はどちらかというと「高齢」「高等教育を受けた割合が残留派より低い」「イングランド地方北部に多い」こと、残留派の場合は「若者層」「都市に住む人が多い」、「より教育程度が高い」などの特徴が判明した。
そこで、エリート層は離脱派の国民を「高齢、あるいは教育程度が低い人、離脱の意味がわからずに投票した人、グローバル化による経済の恩恵を受けられない人=単純労働をする、低所得層」として扱うようになった。
実は教育程度が高くてもEUの官僚体制を嫌って離脱に票を入れた人や、富裕層、そして当時のキャメロン保守党政権への抗議として離脱を選んだ人もいたのだけれども、それは隠れてしまった。
一方、リベラル・メディア、政界、大企業に所属する人や経営陣の多くは残留を支持した。
残留派が大部分の下院議員は、自分は残留派なのに地元の有権者は離脱支持という「ねじれ」現象を経験した。こうした層に属する人々にとって、半世紀近く加盟していたEU(当初はEEC)からの離脱は青天の霹靂(へきれき)であり、完全なる想定外だ。そこでこれを何とか止める、実施を遅らせる、あるいは現状に最も近い形での実現に力が入ることになった。
メイ首相が「これしかない」として出してきた離脱の条件を決めるためのチェッカーズ案は、現状に限りなく近いブレグジットを示していた。離脱派からすれば、この案では、離脱したのかしないのかわからなくなってしまう。
「政治エリート層には離脱派の本当の声が届かない」――そんな焦燥感を離脱派国民は持ち続けてきた。
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