イギリス「離脱強硬派」が怒りを隠さない理由 「きっぱり離脱」を求める声が広がっている

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9月22日、党派を超えた運動を展開する「離脱は離脱だ」(Leave Means Leave、以下「LML」)の決起集会がイングランド地方北部ボルトンで開催され、離脱支持者による「きっぱりした離脱」を求めるキャンペーン運動が本格始動した。

かつては「ありえない」ともいわれていた、イギリスのEU脱退。これを全国的な政治議題にし、2016年6月の国民投票を実現させたのは、反EUの政党「イギリス独立党」(UKIP=ユーキップ)とこれを支えた国民の草の根運動だった。

LMLははたして、UKIPのような政治旋風を引き起こすことができるだろうか。筆者はボルトンで行われた集会の様子を取材した。

「きっぱりと離脱したい」

離脱派のロビー団体となるLMLは、2016年7月、元イギリス商工会議所の事務局長であるジョン・ロングワース氏と起業家のリチャード・タイス氏が共同設立した。しばらく事実上の休眠状態が続いていたが、投票から2年以上が過ぎた今、「親EUとなるチェッカーズ案の取りやめ」「離脱派が望んだように、EUからきっぱりと離脱することを求めて活動を再開した」(タイス氏)。

参加者が手にしていた小旗とプラカード(筆者撮影)

決起集会の会場は、ボルトンのサッカー競技場施設の中に設置された。40分ほど前に会場に着くと、すでに長い行列ができていた。イギリスメディアの記者数人が並ぶ参加者にマイクを向けている。

中に入ると席はぎっしりと詰まっている。タイス氏によると、約2000人が参加したという。半分以上は白髪の高齢者だ。親あるいは祖父母に連れられた子どもたちに加え、10代後半から30代の若者たちの姿も見えた。

2016年の離脱をめぐる国民投票で、ボルトンは離脱派が58.3%、残留派が41.7%で離脱派が優勢だった地域である。全国的にみると離脱派が51.9%(約1700万票)、加盟残留派が48.1%(約1600万票)の僅差だった。

集会冒頭で「離脱とは本当に離脱という意味なのだと政府に伝えたい」とロングワース氏が述べると、「よくぞ、言ってくれました」という感じの大きな歓声が上がった。

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