「サリン」「VXガス」製造の知られざる舞台裏 オウム事件「教祖の寵愛」「上司との確執」
「1993年4月ごろ、村井さんから土谷、W、広瀬(健一元死刑囚)、Tの4人でソ連に行ってくれ、と言われ大学施設や爆薬を作るのに必要な硫酸工場などで講義を受けましたが情報入手の成果はいまいちでした。帰国すると村井さんから『聖者は一般の人と比較して必要とする酸素の量が少ない。その差を利用して聖者だけを選別する。つまり、生き残らせる兵器、というよりそんな化学物質はあるか?』と尋ねられました」
土谷「サリン、VX、ソマン、タブンあたりですかね」
村井「サリンのほうが、原料も安いし入手しやすいね」
土谷「ではサリンに取り掛かります。試薬、準備します」
村井「近い将来、日本国内は戦争状態になる可能性が大であると考えている。自己防衛という観点から軍事力を持たなくてはいけない。アメリカ、ソ連はVXとサリンを大量に保管している。この化学兵器があるのなら強力な兵器としての価値を有することになる。抑止力としての軍事力ともなる」
聖者を選別するため……村井氏により“こじつけ”とも思われる理由がここで明らかになるが、教団のダミー会社などを通じて必要な薬品を手に入れた土谷元死刑囚はついにサリン製造に成功する。命令されてあっさり成功してしまう天才的な能力が感じられるが土谷死刑囚には罪悪感というものはなかった。また、松本サリン事件後には村井氏から新たな指示を受けていたという。
村井「松本でサリンとバレてしまった。証拠が残らないものはないか?」
土谷「ホスゲンか青酸がいいんじゃないでしょうか?」
村井「作ってくれ。それから、爆薬も作ってくれ」
土谷「なぜですか?」
村井「日本中が内乱になったら暴力団などの組織が出てくる。それに対抗するためには武装が必要だ。銃は1000丁作らなければならない。それは広瀬、横山(真人元死刑囚)にやらせる、君は銃弾、火薬を製造してほしい」
土谷元死刑囚はいぶかりながらも銃弾の製造に取り掛かり実際に火薬を200グラム合成し、TNT爆弾のプラント製造にまで取り掛かっていた。さらに最強の毒ガスともいわれるVXガスを5回合成、まず12月に駐車場経営者襲撃事件に使用されたが失敗した。土谷元死刑囚はその時の様子を振り返る。
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