バイオベンチャー「そーせい」が迎えた大試練

実験サルにがんが発生、治験中断の誤算

その“犯人”はカニクイザルだった。

人に対する治験と並行して、そーせいは重篤な副作用がないかなどの安全性を確認するため、動物を使った長期毒性試験を実施していた。ラットなどの試験では重篤な有害事象が起きなかったが、今回、カニクイザルに毒性所見が見つかり、希少な腫瘍(がんや肉腫)が発生した。

不十分な説明内容

そーせいはただちに原因究明に入るとともに、人向けの治験を中断。リリース発表当日に、緊急でこの事案に関する投資家向けオンライン説明会を実施した。

当然と言えば当然だが、人の安全性の確保を第一優先にしたこと、動揺する市場や投資家への説明を急いだことは評価されるべきだろう。ただ、その説明の内容が極めて不十分だった。

がんが発生した複数のサル向けの毒性試験での投与期間は9カ月。治験での人への投与期間より長い。薬の用量も人に対するものよりも多かった。

会社側は「9カ月という投与期間の終わりに近い時期になって毒性が見つかった」とも説明している。こうした説明からは、投与期間の長さや用量の多さががんを引き起こしたのではないか、という疑問が起きる。

これに対し、そーせいは「原因究明に向けアラガンなどと調査を開始した」と語るのみで、有毒事案の中身など詳細な説明は避けている。いつからどのくらいの期間、どれだけの用量を欧米などの治験で人に投与したのかといった極めて基本的な情報も含めて、「アラガンとの契約上の守秘義務」を理由にそーせいは口をふさぐ。

これまでの治験では人に重篤な有害事象は出ていないと会社は強調しているが、単に薬の投与期間が短いから出ていないだけなのかもしれない。長期に薬を使い続ける必要性がある認知症治療薬の現実を考えれば、現時点では少なくともその懸念は持たざるをえない。

次ページ投資家から相次いだ質問
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 高城幸司の会社の歩き方
  • 日本人が知らない古典の読み方
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 就職四季報プラスワン
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
おうちで稼ぐ、投資する!<br>在宅仕事図鑑

コロナ禍の下、世代を問わず広がったのが「在宅で稼ぐ」ニーズ。ちまたにはどんな在宅仕事があり、どれくらい稼げるのか。パソコンを使った「デジタル小商い」と「投資」に分け、誰にでもできるノウハウに落とし込んで紹介します。

東洋経済education×ICT