バイオベンチャー「そーせい」が迎えた大試練 実験サルにがんが発生、治験中断の誤算
日本を代表するバイオベンチャーが岐路に立たされている。そーせいグループは9月18日、アルツハイマー病(AD)やレビー小体型認知症(DLB)などの治療候補薬で行っていた臨床試験(治験)を自主的に中断すると公表した。
アメリカでは提携先の製薬大手アラガン(本社・アイルランド)が2017年からAD向け適応の治験第1相を開始、日本国内ではグループの中核子会社ヘプタレス・セラピューテックが、DLB向け適応の治験第2相を開始したばかりだった。
最大3600億円の超大型提携
そーせいにとって、この薬は極めて重要だ。そーせいは2016年4月、ほかの創薬候補を含めて中枢神経系疾患分野でアラガンと大型提携を結んでいる。いずれも同年2月に買収したヘプタレスの技術を活用したものだった。
その内容は、アラガンにグローバルでの開発・販売権を与える代わりに、契約一時金137億円、化合物のタイプ別に開発進捗に応じたマイルストン収入最大730億円、さらに販売目標の達成に応じたマイルストン収入として最大で2743億円(発表時の換算レートでの計算値)が入るというもの。
想定収益合計は最大3600億円に達し、ほかに売上高に応じた最大2ケタの段階的ロイヤルティの受領権もある。日本のバイオベンチャーとしては破格だった。契約一時金はすでに計上済みで、2017年3月期のそーせいの収益を一気に膨らませた。この契約によりバイオベンチャー銘柄としての同社の注目は一気に高まって、株価は一時、6500円を超えた。
今回の創薬候補は、アラガンにライセンスアウトした3つの化合物タイプの1つにすぎないが、日米欧で治験(欧州は現在治験後期第1相を完了)段階に進んでいて、アラガンと提携した開発プロジェクトの先陣を切っていた。
これまでアラガン関連の開発は順調に進捗しているとみられていた。それが突然の自主中断。なぜ中断せざるをえなくなったのか。
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