自然災害の脅威、JRは鉄道をどう復旧させた? 今夏は豪雨や地震で多くの路線が寸断された

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北海道胆振東部地震で被害を受けた日高線を除くと、復旧に最も時間を要すると見られるのはJR西日本芸備線の三次―狩留家(かるが)間である。少なくとも1年以上とJR西日本は発表しており、復旧は2019年7月以降まで待たなくてはならない。

この区間では、白木山(しらきやま)―狩留家間に架けられた長さ83mの第1三篠川橋りょうの橋桁が流出し、橋脚も倒壊した。製造に少なくとも半年以上を要する橋桁を新たに用意しなければならないうえ、橋脚部分も基礎の構造は不明ながら、恐らくは直接基礎といって川底にコンクリート製のベタ基礎を築いてその上に橋脚を構築するという、文字どおり一からやり直しする状況と考えられる。

橋りょうの流出に次いで復旧に時間を要する被害とは法面(のりめん)の崩壊、続いて盛土の崩壊といったどちらも土構造物の崩壊だ。法面の崩壊により、現時点で福塩線府中―塩町間、芸備線備後落合―三次間、呉線三原―広間が、盛土の崩壊によって山陽線三原―白市間がそれぞれ不通となっている。

復旧時期を早い順に挙げると、山陽線が9月30日、福塩線吉舎(きさ)―塩町間と芸備線備後庄原―三次間が10月4日、呉線安芸川尻―広間が10月14日、福塩線上下(じょうげ)―吉舎間が10月18日、呉線安浦―安芸川尻間が11月中、呉線三原―安浦間が2019年1月、福塩線府中―上下間と芸備線備後落合―備後庄原間が2019年1月~3月中の見込みだ。

法面崩壊の復旧事例

崩壊した法面の復旧方法について過去の事例をもとに紹介しよう。1999年8月14日の集中豪雨での西武鉄道池袋線の吾野駅構内で起きた法面崩壊により、線路方向に100m、線路直角方向に70mの範囲に最大4mの土砂で埋まり、流入した土砂の量は約3万5000m3であったという。

線路上の土砂を撤去するとともに、二次災害を防ぐために崩壊した法面側に高さ3m、延長100mの仮設の土留壁を構築した。連日約200人もの作業員を導入して泥土の撤去に当たり、災害発生から約2週間後の8月31日に1線が復旧して池袋線は単線で列車の運転を再開する。その後も復旧作業は進められ、9月14日に完了して復旧した。

応急的な復旧が終了した後、西武鉄道は法面の安全対策に取り組む。まずは各所の健全度を測定し、改善が必要とされた法面に対しては格子状のモルタル・コンクリートを造成する法枠(のりわく)工法などで補強された。

加えて降雨による運転規制の見直しも図られ、毎時30mmの降雨に達したときの運転規制はそのままながら、一時的な降雨が40mmに達したときという基準が新設され、そして継続降雨量は24時間で200mmから12時間で250mmへと基準が強化されている。

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