就活「学歴フィルター」がなくならない真因 人事担当者が語る、新卒採用の行動心理

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ちなみに中小企業や、大手企業の中でも業種によっては、応募者が少なく、人手不足が深刻な状況です。同時に学歴が関係無く、人物本位で採用している企業が多くあります。学歴が無くても熱意をもった学生が来てくれたら、本気の笑顔で迎えてくれる企業です。そういった企業にアプローチしてみることは視野に入っているでしょうか。

有名企業にもし入れたとして、高学歴者が多くいる同期達と一緒に競い続け、成果を出し続けていく気概は本当にあるでしょうか? あるなら学歴フィルターに負けない応募手段を見つけ出し、チャレンジしてみる価値もあるでしょう。そのような手段を考え行動できる学生なら、有名企業も喜んで採用する可能性があると思います。でも、働く場所が有名企業である必要、理由が本当にあるのでしょうか。

もし、本当に好きなことが分かっているのなら、「就職」という概念を捨てて、その好きなことにとことん向かい、自分の価値を尖らせ起業するのも、魅力的な選択肢のひとつと言えると思います。いずれにしても、学歴フィルターに対し怒り文句を言うだけでは、何も変わらないですし、悪循環にハマりやすいということは分かってほしいところです。

資格を学歴に変わるエントリー基準にするのも手

一方、企業側はこのままでいいのでしょうか。本当に学歴フィルターは必要なのでしょうか。学歴フィルターをかけている事実を明確にすることで、企業イメージを損なうリスクを恐れているのであれば、こっそりの学歴フィルターではなく、エントリー前に能力テストの受験を必須にすることとし、そのテストのレベル感を分かってもらう為に問題例を事前に明示するのはどうでしょう。

また、採用基準の中に、TOEICやTOEFLといった検定試験の点数が一定基準に達していることを条件とすることや、特定の資格がないと採用しませんというような資格フィルターを設けることを明示することもひとつの手ではないでしょうか。さらに、資格ではなくても、事前に明確な課題を設け、その課題を成し遂げた人材だけエントリー可能とするなど、その基準を満たせない学生の応募を防ぐ壁を事前に作ることで、採用効率をあげることもできます。

学歴に変わる明確なエントリー基準を事前に設け明示すれば、企業イメージを損なわず採用活動の効率アップができ、更に低学歴でもその企業に入りたいと大学生の間に努力する優秀人材の採用可能性もでてくるはずです。すでにそのようなことを行っている企業や、欧米のように本格的なインターンシップを実施し、実務経験を見てから採用を決める企業も目にします。

学生も企業も、より効率的で有意義な活動を行うためにできることは必ずあるはずです。時間というものの価値がどんどん高まる時代だからこそ、極力、無駄なことは無くしていく工夫をお互いにしていきたいものです。

豊川 晴登 人材ビジネス企業 人事・採用担当

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とよかわ はると / Haruto Toyokawa

1974年生まれ。ベンチャー、中小、大手上場企業など複数の企業に勤務し、小売、金融、保険、アウトソース、人材等の事業領域で人事を中心としたキャリアを積む。事業責任者、上場企業の執行役員等の経験を経て、現職に至る。GCDF-Japanキャリアカウンセラー。

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