海運バブル大崩壊! 投機マネー急減で未曾有の市況下落
強気の海運大手にのしかかる“供給過剰”
日本の海運各社は、BDI暴騰の恩恵を受けてきた。日本郵船、商船三井、川崎汽船の大手3社は08年3月期にこぞって過去最高益を更新。その後市況は一変したが、10月27日に中間決算を発表した海運大手のうち、最大手の日本郵船は通期経常利益を2100億円と期初計画を据え置いた。商船三井は第1四半期の増額分を減らしただけで、「期初に計画した通期経常利益3000億円は確保できる。BDIと業績との相関は低い」(芦田昭充社長)と強気の姿勢を崩さない。
BDIがスポット運賃の総合指標であるのに対し、日本では海運大手の約9割のバラ積み船が1年以上の中長期契約で固定運賃を決めている。海運大手が強気なのは、固定運賃の多くは好況時のBDIを元に決めた高水準の運賃だからだ。ヴァーレが中国向け鉄鉱石輸出を再開することを前提に、日本郵船は下期のBDIを2800と見る。ケープサイズ換算で4万ドル。商船三井も下期3万ドルと黒字水準を見込む。
だが、船転がしの連鎖がほつれ、FFAから投機マネーが撤退した現在、市況の急激な回復は期待し難い。
中国、韓国の造船所を中心に新造船計画は目白押し(下グラフ参照)。一部で中国の造船所破綻が伝えられるが、あくまでも不動産業者など異業種が手掛けた新興造船所に限られる。好況を受けてタンカーを急きょ改造したバラ積み船が竣工を迎えるのもこれからだ。バラ積み船の供給過剰は避けられない。海運バブルは遠い昔の話になりつつある。
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