秋葉原に「安倍支持旗」が立ちまくった舞台裏 自民総裁選、選挙戦最終日に何があったのか
午後6時からは石破茂元幹事長の演説会が渋谷駅前で行われた。集まった人は約300人で、統一した旗もプラカードもなく、素朴さがにじみ出ていた。中には、「反・生産」と書いた旗をたなびかせる人、「ISHIBA AGAINST FASCISMO」のプラカードをずっと掲げる女性もいた。
石破陣営の関係者は「うちは一切動員してない」と述べ、すべての応援は参加者の自発によるものと胸を張った。石破陣営のある秘書は「勝利が厳しいことは自覚しているが、終盤に伸びてきた地方票に期待したい。あと3日あれば、地方票では逆転できるかもしれない」と言った。確かに17日の銀座街宣を取材した感触では、石破氏の人気が上昇しつつあるのが見てとれた。
20日の総裁選で注目されるのは票数だ。石破氏の獲得数が善戦といえる程度まで伸びれば、ポスト安倍の地位を確保できる。加えて安倍首相は、いままでの「側近重視」の路線変更も迫られるだろう。斎藤健農水相が安倍陣営のひとりから辞任を迫られた件や自民党兵庫県連所属の地方議員に総裁選応援について圧力がかかったとされる件など、禍根を残す問題もあるからだ。
総裁選後の「外交」がいきなり正念場に
総裁選よりも安倍首相を悩ますのは、国際問題だ。安倍首相の国連総会出席に合わせて開かれる日米首脳会談では、トランプ大統領からこれまでになく厳しい通商的課題を迫られる見通しだ。
朝鮮半島では南北首脳会談が行われ、平壌共同宣言が発表されたが、新しい朝鮮半島の秩序の形成に、日本は多大なコストが強いられるかもしれない。そして東方経済フォーラムで発せられたプーチン大統領の「前提なしの平和条約締結案」についてはどう対応するのか。
「今回が最後の総裁選」と断言した安倍首相にとって、平成のその先の時代を見据えるなら、行うべき大業は憲法改正だけではない。安倍首相はどのように政治家としての総決算をするのだろうか。そして歴史の大転換期の中で、どのようにその名を刻もうとするのだろうか。注目点は、そこに移っている。
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