ヨネックスが大坂なおみをサポートするワケ 「全米オープン優勝」弾みに海外開拓加速狙う

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全米オープンの優勝トロフィーを掲げる大坂選手。ヨネックスにとっては息の長い選手支援が結実した瞬間だ(写真:ヨネックス)

大坂選手は、ヨネックスが行ってきたこの長年の”種まき“が実を結んだ1つの結果だ。実は、今年の全米オープンテニスの女子ジュニア部門では本選出場者64人のうち22人、男子ジュニア部門では64人中15人がヨネックスのラケットを使用。特に女子は、アメリカのウィルソン、フランスのバボラ、オーストリアのヘッドなど世界トップ3メーカーを抑え使用率1位となっている(ヨネックス調べ)。

活躍中のトップ選手たちは、用具を変えることを好まない。変えることで不調になることを恐れるためだ。ジュニアからヨネックスのテニスラケットを使っているトップ選手は、他社からどんなに契約金を積まれたとしても、使い慣れた製品を選ぶ傾向にあるという。このままジュニア層の選手が育っていけば、世界シェアの4番手からトップ3へ、飛躍する日も夢ではない。

バドミントンでは中国開拓に成功

大坂選手効果で一躍注目を集めたヨネックスだが、売り上げの過半はテニス用品ではなくバドミントン用品が占める。公表数値はないものの、国内シェアは推定7割と圧倒的で、世界的にみても、台湾のバドミントン専門メーカーのビクター、中国の総合スポーツメーカーのリーニンという競合を抑え、シェアトップを誇る。たとえば、7月末から8月にかけて行われた「世界バドミントン選手権大会」では、メダリストのうち約6割がヨネックスのラケットを使用していた。

ヨネックスはバドミントン日本代表の桃田賢斗選手も長年サポートしている(写真:ヨネックス)

バドミントン用品は国内市場の大幅な伸びは期待できない半面、海外向けが好調だ。競技人口8000万人とされる巨大市場の中国の開拓に成功し、最近では売り上げを伸ばしている。今ではバドミントン用品売り上げの約7割が中国を中心とした海外となり、今後も中国に加え、インドなどの新興国で拡大の余地はある。

バドミントンで中国の開拓に成功した要因としては、認知度向上のための広告宣伝活動が大きい。中国のリン・ダンなど世界に名だたるトップ選手を広告塔に起用し、国際試合でのラケットの使用のほか、CM出演、雑誌やテレビなどを使った情報発信でバドミントンブランド、ヨネックスの価値を高めていった。

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