コンパクトマンションの市況好調は続くか 単身女性に人気の一方で平均単価は上限に近づく

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しかし、単身女性の住宅購入資金は決して潤沢ではない。年収は400万~600万円が中心だ。少しでも値付けを誤ると、たちまち売れ行きは鈍ってしまう。「3500万円までに抑えないと、シングル女性はついてこない」(伊藤忠都市開発の昆氏)。トータルブレインの杉原常務は「コンパクトマンションには坪単価350万円のカベがある」と分析する。

1坪=約3.3平方メートルなので、坪単価が330万円の物件だと1平方メートル当たりの値段は100万円。つまり、30平方メートルの部屋であれば、価格は3000万円だ。ここから多少買い上がったとしても、坪350万円が実需の単身女性が購入できるギリギリのラインになるという。

市況好転も価格のバランス危うい

だが、2013年1~8月に東京23区で供給されたコンパクトマンションの平均坪単価は300万円を突破している。これはミニバブル期を上回る水準だ。当時に比べて単価の高い都心6区での供給割合が増えていることを考慮しても、割高感は否めない。

背景には、折からの地価上昇や建築費の高騰がある。さらに、株価上昇に伴う資産効果や不動産価格の先高感によって、投資目的やセカンドハウス用途で購入する富裕層やキャピタルゲイン(値上がり益)を狙った外国人の資金流入も見られるという。

需給は改善したものの、建築コストの上昇で価格はメインターゲットの購入可能額の上限に近づきつつある。コンパクトマンションの足元の好調は、極めて危ういバランスの上に成り立っている。

猪澤 顕明 東洋経済 記者

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いざわ たかあき / Takaaki Izawa

1979年生まれ。慶應義塾大学卒業後、民放テレビ局の記者を経て、2006年に東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、ニュース編集部などに在籍。2017年に国内のFinTechベンチャーへ移り、経済系Webメディアの編集長として月間PVを就任1年で当初の7倍超に伸ばす。2020年に東洋経済へ復帰、「会社四季報オンライン」編集長に就任。2024年から「東洋経済オンライン」の有料会員ページを担当。

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