コンパクトマンションの市況好調は続くか 単身女性に人気の一方で平均単価は上限に近づく
背景にあるのが、需給バランスの急激な改善だ。コンパクトマンションに適したエリアは、都心あるいは都心への交通利便性に優れた一部の地域に限定される。それゆえ、「適正水準は首都圏全体の供給戸数の1割程度。供給が4500~5000戸を超えると需給バランスが崩れてしまう」(トータルブレインの杉原禎之常務)。
2010年から2011年にかけて、23区内の供給戸数は5000戸台後半から6000戸台まで増加した。だが、2012年は4849戸まで減少。2013年は1~8月の累計だが、2674戸にとどまっている。
買い支えているのはてっきり投資家かと思いきや、意外にもそれはごく一部。「コンパクトマンション購入者の大半は実需だ」と、トータルブレインの杉原常務は指摘する。主に30~40歳代の単身女性が居住用に購入している。こうした顧客層を念頭に置いた物件が、特に売れ行き好調だという。
女性のニーズに合わせて完売
たとえば、伊藤忠都市開発が手掛ける「クレヴィア新中野」(平均専有面積49.55平方メートル)。
東京メトロ丸ノ内線の新中野駅から徒歩6分の場所で建設が進む42戸のマンションは、今年4月に24戸を売り出したところ、初月で22戸に購入申し込みがあった。販売から6カ月足らず、10月第1週には全戸が完売した。
平均坪単価は280万円で周辺のほかの物件に比べて少々割高。それでも「堅調な売れ行きだった」(都市住宅事業部の昆勇士氏)のは、徹底的に女性を意識したデザインによるところが大きい。
安全面やプライバシーに配慮して、共用部は内廊下としたほか、全住戸が2面採光の角部屋となっている。玄関脇のクロークには姿見の鏡を標準装備した。「事前に住宅購入を検討中の女性にグループインタビューを実施し、仕上げの高級感よりも実用的な設備を多く取り入れた」(建築技術グループの室井理美氏)。
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