ZOZO前澤氏「民間人初の月旅行」に懸ける真意

会社側は「個人的活動」と説明するが…

「#dearMoon」プロジェクトを運営するのは前澤氏の個人資産会社の子会社。スタートトゥデイの広報は「弊社との資本関係はない」と説明し、あくまでアートへの造詣が深い前澤氏個人の活動であることを強調する。ただ前澤氏にとって月旅行は、スタートトゥデイの認知度拡大に向けた戦略の延長線上にありそうだ。

前澤友作社長は今年7月、プライベートブランド「ZOZO」からオーダースーツを発売することを発表した(撮影:梅谷秀司)

ゾゾタウンの出店手数料収入で成長した同社は今年1月、採寸用ボディスーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」の計測を基にしたオーダーメイドに近いプライベートブランド(PB、自主企画商品)「ZOZO」の販売を開始。7月には世界72の国・地域での販売に乗り出し、認知度拡大のため10万着のゾゾスーツやデニム、Tシャツを無料配布する計画をぶち上げた。

10月には社名自体も「ZOZO」に変更し、2020年度にPBを売上高2000億円規模のブランドへと成長させる目標を掲げる。だが2000億円という年商は、ファーストリテイリングが展開する「GU」に匹敵する規模で、ネット上のみで事業展開する同社には国内外での知名度向上が大きな壁となる。

「海外での認知が圧倒的に足りない」

当の前澤氏も今年7月の東洋経済の取材で、「(海外では)“ZOZO”といっても誰も知らない。認知が圧倒的に足りない。世の中にとって新しいビジネスモデルなので、認知さえされれば一定層の方々には比較的早いタイミングで知れ渡る気がする」と語っていた。

今後の成長のカギを握るPBのイメージアップを図ろうと、今年に入り、発表会や単独インタビューなど、前澤氏本人がメディアに露出する機会は急増していた。月旅行のプロジェクトも、「民間人初の旅行客にZOZOの前澤氏」とセンセーショナルな見出しが世界に出回れば、前澤氏本人とともにZOZOの宣伝効果が期待できるというわけだ。

月旅行に使われる予定のスペースXの大型ロケット「BFR」(写真:ロイター)

実際、今回の発表には世界中のメディアが飛びついた。アメリカでは、ニューヨークタイムズやウォールストリートジャーナルといった大手紙、ABCやCNN、CNBCといった大手テレビ局も取り上げている。

だが、前澤氏が民間人で世界初の月旅行者となることが伝わった18日、スタートトゥデイの株価は一時前週末比155円(約4.7%)安の3125円まで下落。株価はその後も低調に推移した。市場には、前澤氏の月旅行への参加が本業に影響を及ぼすかもしれないとの懸念もあったようだ。

「ツケ払い」や「送料自由化」など、これまでも話題性のある施策を続々と打ち出し、ゾゾタウンを国内トップのファッション通販サイトに導いた前澤氏。世界の舞台では、どう受け止められるのだろうか。

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