日立「鉄道快進撃」がイギリスで直面した難敵 電化の遅れ、運行会社撤退、旧式信号…

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日立レールヨーロッパのカレン・ボズウェル社長はお披露目運転の直後の会見で「車両納入までの道のりはとても複雑で、かつさまざまな困難を伴うものだった」と述懐したように、想像以上の問題があれこれと発生した。

英国には古い鉄道インフラが残っている場所が多い。19世紀半ばに造られた建物がそのまま使われているスコットランド・パース駅。まるで歴史遺産のよう?(筆者撮影)

最も大きな問題は、この新型電車が走る区間はもともと非電化で、その工事が遅れたことが挙げられる。鉄道の線路や信号システムなどインフラを管理するネットワーク・レール・スコットランドが同区間の電化を受け持ったが、「電化工事の完了がずいぶん遅れたため、電車を本線上で試運転したくてもできなかった(日立の関係者)」という。

「クラス385」はチェコ共和国のヴェリム試験センターにある13㎞あまりのテストサーキットで十分な走り込みを行ってきたものの、電化がようやく完了したスコットランドの線路で実際に走らせてみるとさらなる問題が発見された。試運転を担当した運転士たちが、運転席の曲面ガラスを通して見る信号機の光が「二重に映る」と訴えたのだ。

これが判明したのは営業運転が始まるわずか半年前の今年1月のことで、その後急いで曲面ガラスの取り替えに着手する事態となった。困ったことに、日立製車両の営業運転開始の遅れは政治問題化する動きにまで発展。地元メディアは「スコットランド自治政府の閣僚らが、遅れについて日立の責任を問うべきだ、という声を上げている」とさえ報じた。

「あずま」は無事走り出せるか?

日立のIEP向け車両「クラス800」は、今年中には東海岸本線(イースト・コースト線)にも投入される予定だ。新型車両の愛称は東海岸の「東」を取って「あずま」と定められた。

命名された時には列車運行オペレーターがヴァージン・トレインズ・イースト・コースト(VTEC)だったこともあり、ヴァージングループの総帥として知られるリチャード・ブランソン氏自身がお披露目式に現れるという力の入れようだったが、同社はその後資金繰りが厳しくなり、今年6月からイースト・コースト線の優等列車は政府が運営するロンドン・ノース・イースタン鉄道(LNER)が運行を引き継いでいる。

ただ、LNERは「あずま」の車両も愛称も引き継ぐことを決めており、幸いにも宙に浮くことはなさそうだ。

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