日立「鉄道快進撃」がイギリスで直面した難敵

電化の遅れ、運行会社撤退、旧式信号…

日立の英国での動きについて、ここ数年の状況を改めて整理してみよう。

英国政府は、主要幹線鉄道を走る老朽化の著しい優等列車用車両の更新について、都市間高速鉄道計画(インターシティ・エクスプレス・プログラム=IEP)の名の下で計画を推し進めてきた。

日立は2012年7月、英運輸省からIEP向け車両を受注した。同社製の高速列車は日本で製造した「クラス395」がロンドンとイングランド南東部を結ぶ高速鉄道「ハイスピード1(HS1)」で導入されているが、「雪にも強く信頼性が高い」との同形式の評判がIEP向け車両受注の決め手のひとつになったことは疑いないだろう。2017年秋には、受注した122編成(計866両)のうち、グレート・ウェスタン鉄道(GWR)向けの「クラス800」が走り出した。

この新型車両にはパンタグラフが付いており、見た目は「電車」だが、ディーゼルエンジンで発電することで非電化区間も走行できる「バイモード」となっている。バイモード車両は、IEPが英国の鉄道界にもたらした「大きな技術的革新」と言っても過言ではない。電化路線の先にある非電化区間にもそのまま乗り入れられるのが特徴で、エリザベス女王2世が2017年6月、「同車両初の乗客」として試乗した際もその新しいテクノロジーに大いに興味を持ったという(「『英国お召し列車』に日本製が採用されたワケ」)。

バイモード車両は、線路沿いに架線を立てるといった環境負荷への改善が見込まれるのが大きなアドバンテージだ。導入にメドがついたことで、景観保護が優先される観光ルートなどでは電化工事そのものを見送ったところさえもある。

スコットランド向け車両は難産に

前述のGWR向け「クラス800」は、投入時の初列車が思わぬトラブルに見舞われた(「日立『英国高速車両』は、トラブル続出だった」)が、納入時期そのものは当初予定どおり実現できたほか、その後も量産車両が次々と投入され、大きなトラブルも起こっていない。

今年7月に営業運転を開始した、日立のスコットレール向け近郊電車「AT-200」(グラスゴー・クイーンズストリート駅で筆者撮影)

一方、スコットランドの2大都市であるエディンバラとグラスゴーを結ぶ新型近郊電車のお目見えは難産となった。

日立は2015年、同地方の列車を運行するスコットレール向けに「クラス385(AT-200)」70編成(計234両)と10年間の車両メンテナンス事業を受注した。当初は2017年中の運転開始を目指したが、実際に営業運転にこぎつけられたのは今年の7月となってしまった。

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